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2010年5月15日

2010/05/08 木の家スクール名古屋第1回講義 2コマ目 綾部孝司氏 講義

〝設計しながら木を刻む〝

 

講師 綾部孝司さん 綾部工務店取締役

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大学卒業後、商業施設を中心にした企画と設計の会社に就職し、充実した日々ではあったが、スクラップアンドビルドの連続に違和感を覚え、住宅設計の設計事務所に移り、さらに木造を深く知るために、家業の大工工務店を継ぐことを決意する。 

仕事がデスクワークから現場に変わったことで、木が材料ではなく生き物であること、建築を頭ではなく体で感じ、失敗でできない緊張の日々が感性を鍛えてくれる。「木を活かす気持ち」で取り組むことから、形が決まり、その形を生みだす技術が育つ。伝統構法とは、木を活かす気持ちを抜きには考えられない。 

目指すのは、循環に基づいた自然な暮らし。自然な営みの中に活かされていることを、住まい造りを通して伝えたい。だから使う材料は木と土と紙。雨に弱い材料だからこそ、造り手は保守のしやすさを考えて建てる。 

建物を長持ちさせるためには、悪くなった部分を見つけ易いことが一番。その為には内外真壁構造が一番。そして床下に潜りやすい石場立てが最適。保守(見つける)は建て主の仕事、工務店は手直しのお手伝いだ。 

住まい手は住まいながら育ち、造り手は造りながら育つ。そんな家造りが難しくなっている。必要な材料が身近で入手しにくい。ついで法律が手足を縛る。法律や制度が定める安全の基準や性能は、近視眼的ではないのか?受け継がれてきたすばらしい工法を、未来に繋げられるように、伝統構法の良さを皆さんに知っていただきたい。

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(文責 運営委員 寺川千佳子)


2010/05/08 木の家スクール名古屋 第一回講義 1コマ目 北原昭男氏 熊本県立大学教授

〝伝統的構法による木造建築の地震被害と耐震性能〝 

講師  北原昭男氏 熊本県立大学教授

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京大の防災研究室に所属していたときに、阪神淡路大震災が起こりました。

重たい屋根の建物ほど全壊率が高く、古い在来構法の建物は耐震性が低いとの印象を、構造別の被害率分布の統計データーから受けました。 

ならば伝統構法による建物は?との疑問を抱いているときに、鳥取県西部地震、芸予地震(島根県)が相次いで起きました。鳥取県西部地震の大きさは阪神大震災よりやや小さいものの、死者ゼロ、伝統構法の建物倒壊も皆無でした。 

被害が小さかった理由を考えると、構造材の寸法が大きく、質のよい材木が使用されていること。優秀な技能が育まれ、ほぞを長くするなどの耐震性に優れた工夫により、大変形をしても仕口部での抜け落ちが抑えられたこと。振動論的には、伝統構法の建物は固有振動数が低く、地震の周期とずれていたため、地震エネルギーの入力を抑えられたと考えられます。 

つまり、伝統構法による軸組みは大変形に至っても元に戻る大きな粘り(変形能力)と変形によるエネルギー吸収性能を持っていることが、大地震に倒壊しない大きな理由です。 

今後、このような特性を持つ伝統構法をこれからの住宅建設に生かす手法、さらには地震で損傷を受けた建物を修復していくための手法、現存する古民家を後世に伝えていくための補修方法の構築が必要です。

 

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(文責 運営委員 寺川千佳子)


2010年5月5日

木の家スクール 名古屋2010 開講します

 
パンフレット写真をダブルクリックすると拡大表示されます

 

 
 

木の家スクール名古屋2010のご案内

会場について:

l  今年度の講座は、9月18日の第5回一般公開講座とフィールドワーク以外の通常講義はすべて、17号館4階1749講義室(旧サテライト4)で行います。(昨年までと教室は同じですが、表示が変わっています。)

 

l  第5回(9/18)の一般公開講座の会場は、2号館1階0211講義室です。

l  パンフレットを同封致しましたので、今後の日程のご確認用に保管して下さい。

懇親会について:

第1回(5/8)、および第7回(11/6)には、講義終了後、17:30から約1時間程度、軽食の懇親会を開催致します。会場は、講義会場のすぐ隣、17号館1741講義室です。会費は1000円となります。講師・スタッフも参加しますので、是非ご参加下さい。(当日受付時に参加のご意志をお聞き致します)

 

ご欠席の場合は: 

当日の資料は、その次の回にお越しの折にお渡ししています。すぐにご郵送をご希望の場合は、事務局までご連絡下さい。ご欠席の回については、ご希望があればビデオを貸し出し致します。

 

建築士会継続能力開発制度(CPD)の対応について:

木の家スクール名古屋はCPD認定プロバイダーです。各講座をご受講になったことを建築士会に申請するため、皆様のCPD登録番号が必要です。ご希望の方は、受付にて登録番号をお忘れなくお申し出下さい。

 

構内の駐車について:

講座当日は名古屋工業大学の構内にて駐車が可能です。入構時に、正門守衛室にて用務先の記入が求められますので、「木の家スクール参加」とご記入のうえ、入構許可証をもらって適宜駐車して下さい。

 

☆ご質問などありましたら、何なりとお問い合わせ下さい

事務局連絡先:

fujioka@nitech.ac.jp

http://kinoie.web.nitech.ac.jp/

 

パンフレット

http://kinoie.web.nitech.ac.jp/images/kinoie_flier2010.pdf

 

 

 

 


2009年12月15日

2009/12/5 緑の列島 木の家スクール名古屋2009 第七回 山辺豊彦氏講義の報告

“これからの木造住宅の構造について”

今回の山辺先生による構造講義が、今年度の『木の家スクール名古屋』の最終回です。

講義の前半は、前回(6月20日)に引き続き『ヤマベの木構造』をテキストにした、

仕口や床剛性の算定などの、木の家の設計実務に直結する実践的な内容の講義でした.

(通し柱と梁の接合部の飲み込み寸法を計算により確認する)

(通し柱と梁の接合部の飲み込み寸法を計算により確認する)

普段は大工さんにおまかせで、特に確認することのない細部の寸法ですが、

こうして応力計算をしてみることで、そこに掛かる力を数値的に確認できました。

掛かる力の大きさを実感することは、

木組みの設計においてはとても大切なことだと感じました。

(講義室の様子)

(講義室の様子)

いつも山辺講義で使用する講義室。各テーブルにディスプレーが設置されているので、

受講生全員がパワーポイントを正確にチェックできます。

そして後半は、受講生から募集した設計事例を題材に、

構造的な解説をしていただきました。

応募は平屋と二階建ての住宅が一例ずつ。そして大きな庫裏の、合わせて三事例です。

(幾つかの建物が連なって中庭を取り囲むように建つ計画)

(幾つかの建物が連なって中庭を取り囲むように建つ計画)

木造の構造を検討する上で大切なことはゾーン分けだと言うことを、

この事例でもわかり易く説明していただきました。

屋根の掛かり方や吹き抜けなどを考慮して各部分ごとにゾーン分けをし、

それぞれの部分ごとに、外力に対してバランスよく抵抗するように

構造要素を配置すること。

ただし、基礎は全体が一体となるように地中梁を通して

硬める工夫が必要とのことでした。

今回が今年度の最終ということで、講義後には茶話会を開きました。

しかし、ここでも引き続き山辺先生への質問者が後を絶たず、

悩み多い木構造の奥深さと、

そして、山辺先生の存在の大きさを改めて実感致しました。

茶話会

今回の講義で2009年は終了致しましたが、

早速運営メンバーでは来年度の講義カリキュラムの検討を始めています。

今回集めた受講者アンケートの結果も参考にしながら、

さらに充実した内容の『木の家スクール名古屋2010』を企画して参ります。

皆さんどうぞご期待ください。

また来年も、共に学びましょう!      (運営委員  丹羽明人)


2009年12月4日

2009/10/31 山の伐採および製材、県産材住宅見学(岐阜県-桑原木材) 

木の家スクール 名古屋

岐阜県関市洞戸の桑原木さんの山と製材所、新築された御自宅の見学をした

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見学のはじめに、桑原さんより、本日の見学会の説明を受けました

 

 

 

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山までは、桑原さんの製材所から歩いて10分ほどの林道に近い場所を

今回の見学のために伐採していただきました

 

 

 

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きこりさんと受講生は、ふだんでは聞けない

皮を見ただけで、わかる木の良し悪しなどを熱心に聞きました

 

 

 

 

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桑原さんのご自宅のリビングにて、ヘリコプター集材の様子のビデオを見たり

総ひのきづくりのご自宅のつくりを堪能しました

質疑も数多くでて、興味深い一日でした

(文責 大江忍)


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