2013年03月28日

緑の列島 木の家スクール富山2012 第5回 木組のデザインと古民家再生

木の家スクール富山、第5回の講義を開催しました。早くも、2012年度最後の講義です。
今回は、(株)松井郁夫建築設計事務所代表取締役、また一般社団法人ワークショップ「き」組の代表理事もなさっている松井郁夫先生。
松井先生と言えば、伝統構法の家づくり。新築の家だけでなく、古民家再生も含めて木組の家のいろいろな話をしていただきました。
まずは、伝統構法に学ぶ。
伝統構法は、地域によってさまざまなつくり方があると言われているが、全国各地の民家を調べてみると屋根に違いはあるものの、軸組のつくり方はほぼ同じである。
継手・仕口の種類もたくさんあるようだが、整理してみると限られた数しかない。また使う場所が決まっているので、それさえ理解すれば決して難しいものではない。
ところが、現在言われているところの在来軸組工法とは、日本の伝統構法とは全く違うものである。
胴差や間柱などは、西洋のつくり方が教えられるようになってからのものである。
日本の文化・気候風土にあったつくり方としては、古来の伝統構法に学ぶべきであるし、私たち作り手は受け継いでしていかなければならない。
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そして、木組の家の考え方。
荒れ果てる山、消える大工技術、木の家は高い?、木の家は強い?、木の家は省エネ?、こうした問題点がきちんと解決されないまま、企業や大手がつくりやすい方向に進んできてしまった。
それを見直すべく、日本古来の伝統構法を受け継いだ、つまり日本の文化・気候風土にあったつくり方をする。
その際に、誰かが得をして誰かが損をする、というやり方ではいけない。川上から川下までみんなが共存していくやり方でなければいけない。
日本の山の木を使って、山も経営が成り立つようなシステムである必要がある。大きな意味での循環が続いていかなければいけない。
そして、松井先生の新築・古民家再生の実例を紹介していただきました。
これからは、省エネ・温熱環境も考えていかなければいけない。
伝統的なつくり方、また古民家再生のように残せるものは残しながら、かつ快適な住まいの温熱環境の家づくりが必要である。
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今年度最後の講義にふさわしい、山の話・木の話から木構造・温熱環境まで、これからの木の家づくりの講義をしていただきました。
松井先生の講義の中にあったように、現状の問題に気付いたつくり手たちは、顔の見える家づくり・近くの山の木を使った家づくりを始めています。
国産材・県産材を提唱するネットワークが増えたことは事実なのですが、実際に使われている量・出来上がる数はまだまだだと言って良いと思います。
そういう家づくりレベルではなく、街づくりにまでならないと大きな成果は見えてこないのかも知れません。
こういった現状をみても「緑の列島ワーク」もまだまだ頑張らねばなりません。
今後とも、「緑の列島ネットワーク」よろしくお願いします。
また「緑の列島木の家スクール」富山・名古屋も続けてまいります。
木の家スクール富山も、来年度同じ時期に開講する予定ですので、よろしくお願いします。

 

緑の列島木の家スクール富山事務局 草野鉄男