2019年07月14日

木の家スクール名古屋2019 第2回:7月6日(土)②

木を生かす建築

講師:望月 義伸 氏
(伊藤平左ェ門建築事務所・名古屋所長)

「旅先で景色を見ていると、日本は緑に溢れていて良いなあ~と感じるが、実は山は荒れています。
良い木が手に入りにくいので、木を大切に使いたいという話をします」と、講義が始まりました。

杣(ソマ)とは、字の通り、木のある山のこと。
近世、木挽(コビキ)さんは木を切ることの専門家。
杣と現場を繋ぐのが木挽さんの役目です。

■木材の流れ

古代:杣人 → 大工 → 現場

中世:杣人 → 番匠(現在の大工さん)→ 現場

近世:伊勢湾台風以後、機械製材が盛んになり、
木挽の職業が無くなった。木の製品化が進み、木が規格化され、コスト競争が始まり、
自然の伐り売りが始まり、山の崩壊が始まった。
更に、外材の使用が増え、現場と杣とが分離してしまった。
現在の木造建築の欠点が此処にあると思う。
「どの時代も 杣(木)と現場を結ぶ人の育成が必要。

■木材と乾燥

木挽は木材を乾燥させずに引くが、木挽が引いて建てた家は、ほとんど狂わない。
しっかり製材をすれば、狂わない。
「木の特性を知り、原木から本気を取ることが大切。」

 

 

■木構造・柱の足元

① 地中に柱を埋める。
② 礎石の上に柱を立てる。その際、柱を太くする。
③ 土台の上に柱を建てる。

■木構造・架構

① 京呂
② 折置
③ 木組みをせず、金物で固める・・・強度は

「構造が丈夫であることが、大切。」

 ■木を活かす金物

① 和釘
② スクリュー釘

木造には金属が不可欠。木を活かすには、各素材との共存と互いに補い合う関係になるべし。

 

講義の後半では、会場の外に準備された丸太を大鋸などで丸太挽きする実演の後、受講生も順番に体験をさせて頂きました。

「手元と切口、そして丸太の端に視点を置きながら全体を見るように」、
「刃が焼けないように、ゆっくり挽いてください。」
こう言われるように自ら鋸を挽いてみて、
講義冒頭で望月先生が言われたその木の特徴を読み取って挽いた木材は長持ちする」
との言葉について合点がいきました。

こうしてゆっくり挽いていると、なんだかこの丸太と対話しているような気分になってくるのです。
「無」で木に向き合う心地の、充実した一時でした。

(文責:寺川、丹羽)