2018年08月15日

木の家スクール名古屋2018 第1回:6月2日(土)①

地域との関係をつくる環境色彩計画

講師:加藤 幸枝 氏 (色彩計画家、有限会社クリマ・取締役)

今年も木の家スクール名古屋の講座が始まりました。6月2日(土)第1回目前半の講師は加藤幸枝さんでした。加藤先生は色彩計画家であり、景観アドバイザーや武蔵野美術大学非常勤講師など多岐にわたりご活躍されています。

講義の前半では、日本と世界のカラーコーディネートの違いをカラフルなスライドと共に、大変分かりやすく解説していただきました。ヨーロッパでは素材のテクスチャーよりも色の対比や配色を重視する傾向があり、一方、日本では色よりも質感が重視されるようです。国の文化に根付いた色彩感覚が基になっているのでしょう。日本の伝統的な街並みにおける色彩調和は色相が揃えられ、ヨーロッパの古い町並みでは類似色相で調和させ、ディズニー空間ではトーン調和が用いられているというお話もありました。様々な色が混じっているように見えますが、多くの色彩調和のパターンはこのどれかに入っているそうです。

講義の後半では実例を基に、環境色彩デザイナーとしてのお仕事のご紹介をいくつかしていただきました。例えば、山梨県甲府市ぶどうの丘で行われた修景事業の市民参加型ワークショップでは、ガードレールの外側を毎年地域住民と少しずつ塗っているそうです。白いガードレールをブドウの幹の色に近い茶色に塗ることで周辺環境の色彩に溶け込ませていました。フランスのカラリスト、ジャン・フィリップ・ランクロ氏が提唱した「色彩の地理学」に基づいた環境色彩の実例として参考になりました。

(文責:宇野みき)