2017年06月25日

木の家スクール名古屋2017 第1回:5月20日(土)②

第1回 「和」の創造的伝統に根ざした家づくり

講師 横内敏人さん(京都造形芸術大学大学院・教授)

横内さんの講義は最初、「”和風”の話は一切しない!、”和”の話をします」という言葉から始まりました。横内さんは大学を卒業される時、オイルショックのため日本に良い仕事が無いなら留学しようと決心され、アメリカで学生生活を過ごすうちに外国建築の素晴らしさと共に、一気に日本贔屓になったとか。

「和」の意味には「日本、混ぜ合わせる、足し算の結果」などの意味があり、日本の文化とは元々あったものが変化せず受け継がれるのではなく、古いものと新しいものが足し算されて成り立つ、穏やかな秩序であること、現在のご自身のテーマは日本の伝統をどう理解するかだと述べられていました。また、もう一つの関心事は建築とエネルギーの問題であり、この2つを中心にご自身の設計された建物の話が始まりました。

横内さんは建物を設計される際、造園、家具も一緒に最初は1/200でプランを練り、次に1/100で細かい設計を行うそうです。この話を聞いたとき、あの美しい一体感を出す設計の秘密が理解できたような気になりました。それらが終わったら、パースを書いてお施主さんに見てもらい、その後、具体的な図面作成に入るそうです。あと、お風呂の設計には気合いを入れると力強く宣言され、その理由として2つ、家で靴を脱ぐこと、毎日お風呂に入ることは西洋風の生活になった現代でも日本人が変えないためだとか。

もう一つの関心事であるエネルギーの問題では、エネルギーを取り込むための開口部を大きくしながら熱環境とプライバシーをいかに確保するかを積極的に考えて設計しているそうです。この問題を解決するため、柱間隔を1間ピッチの4スパンとし、中央の2スパンのみシングルレールにて左右に開口できるようにすることで施工の単純化と熱環境の確保を実現していること、プライバシーに関しては、学生の頃よりコートハウスが有効と考え、積極的に設計に取り入れられていることが実物件の写真と共に紹介されました。