2017年06月25日

木の家スクール名古屋2017 第1回:5月20日(土)①

第1回 建築・環境照明デザイン

講師:早川亜紀さん(灯デザイン主宰)

 

木の家スクール名古屋2017 第1回は早川亜紀さん(灯デザイン)、横内敏人さん(京都造形芸術大学)を講師に迎え、スタートしました。先ず、早川亜紀さんより「建築・環境照明のデザイン」というタイトルで照明設計された建物の事例や、苦労された点を分かりやすく講義を頂き、実際にLED照明を照らすなどの実演も頂きました。

早川さんの講義では、私たちが聞き慣れない単語が次々に出てくるとても楽しい内容となりました。「平面夜景図、視環境、楕円配光」など、建築を教える学校でもほとんど使われない言葉です。例えば、平面夜景図とは平面図に夜景を落としたもので、お施主さんに説明する際にも用いる分かりやすいもので、真っ白な図面に色鉛筆で色付けをし、お施主さんの要望や必要機能を追記するなどに使うことができるとか。名古屋市の大森寺、長野県は道の駅FARMUS木島平などを事例に設計のポイントやパースを見せて頂きました。特に、道の駅FARMUS木島平の設計で書かれたパースと竣工後の写真がほぼ同じ夜景となった事をプレゼン頂いたとき、会場が少しざわめいたことが印象的でした。あと、照明設計の仕事は夜間にしか現場確認ができないことが悩みと言われたとき、会場の皆さんが「うんうん」と頷いていました。

照明デザイナーが入らずに照明計画を行った場合、高い位置から照らす効率的なポール照明を用いて必要照度を得ることが一般的です。一方、照明デザイナーが設計に加わると、照明が存在しないが必要なところは照らす設計を心がけるそうです。その違いがもっとも現れるのは夜景写真を撮影するときで、写真のフレーム内に照明が映り込んで雰囲気を壊してしまうかどうかです。正直、今回の講義を受けるまで、照明デザイナーに依頼するとコストが高くなるという先入観を持っていましたが、早川さんは第一にコストダウンを意識され、心理的・生理的に問題が無いように暗さ感をおさえるなどを行えば、使用電気容量とコストは結果として下がることになるそうです。普段はそれほど意識しない照明について、色々と考え始める良い機会となった講義でした。

(文:清水)