2016年06月10日

木の家スクール名古屋2016 第1回:5/28(土)第二部

民家のボキャブラリーで新しい建築を考える
講師:大角雄三 氏 (大角雄三設計室 主宰)

岡山で建築設計事務所を主催されている大角雄三さんのお話をお聴きしました。
大角さんの設計の拠点は、岡山の中心から西へ車で30分ほどのところ。田畑や山に囲まれた昔ながらの田園地帯です。
入母屋の母屋と蔵や納屋を構える農家が点在し、気候も地形も穏やかで、特に大きな自然災害もない豊かな土地柄。そこで年間に約6、7軒のペースで住宅設計を手掛けて来られました。これまで設計してきたもののおよそ1/3は民家の再生とのこと。
“風景となる建築。風景にとけ込んで目立たない住宅をつくりたい”と話す大角さんは、身近にある風景や民家をヒントに沢山の住宅を設計してきました。
大角さんの建築スタイルは、“民家をベースに古くて新しいものを創造する”というもの。独立後間もなく、仲間達とはじめた民家再生の活動で、全国の民家を見て回って実測をするなかで、「古い家は寒そうだし、使い勝手も悪そうだけど、そこにきちっとしたデザインを入れることで、きっと古くて新しい、良いものができる」と思い至りました。
大角さんが魅かれる民家の魅力。それは何と言っても野趣あふれる木材を組んだ骨組みです。「はじめに空間ありき」ではなく、そこにある材料でつくるしかないがために、大工が工夫して知恵と腕を奮ってつくっていることが、圧倒的な存在感を生んでいると話されます。スクリーンに映し出された『おかやま山陽高校記念館』の幾重にも折り重なって組み上げられた小屋組は、まさに美しくも圧巻でした。
“民家のボキャブラリーの中にデザインのヒントが隠れている”。
ナマコ壁、竹小舞、漆喰、紅殻漆喰、焼き杉板、燻し瓦、持ち送り、箱階段、土間。それら民家の中に見る総てが魅力であり、大角さんにとっての財産だと言います。
“古民家に新しい命を吹き込んで再生する”
“民家のボキャブラリーをアレンジして取り入れて新築する”
スクリーンに映し出される「再生」も「新築」も、“民家”というキーワードでつくられる大角建築は、どれも“古くて新しい”魅力的なものばかりでした。
(文責 丹羽明人)

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