2012年12月29日

木の家スクール 名古屋2012 第5回:9/30(土)

10周年記念 一般公開講座

 

新しい希望としての「里の思想」

―自然と暮らし行動する哲学者の言葉と実践―

 

講師 内山 節 氏

 

講師の内山先生は1970年代から東京と群馬県・上野村を往復して暮らしています。上野村は都会からのアクセスが悪いためか、共同体としての「村」という仕組みが今でも色濃くあるそうです。本講義は内山氏の村での日常や震災当日の体験談から始まりました。

               里山風景(内山先生ご提供)

私たちは東日本大震災を経て、近代社会の在り方に大きな疑問を感じています。私たちが求めたものは、システムをコントロールすることが不能となった社会ではないはずです。

一方、震災をきっかけに地域共同体の潜在力が浮き彫りにされ、日本中で進行する共同体の弱体化を食い止め、その再構築を目指す動きが活発化しつつあります。巨大システムへの依存ではなく、人と人・地域と地域が結びあう社会を再構築することが求められているのでしょう。

今、社会は転換点を迎えています。私たちは近代的な物や制度に囲まれて暮らす中、幸福を感じにくくなってしまっています。これから本当に必要なものは実体のある幸福感ではないでしょうか。自然と人間のかかわりを本質的に見直し、「里」や「村」という暮らしの姿に未来への希望、そして新しい時代の行動原理を見ることが出来るのではないでしょうか。

(文責:田中寛子)