2012年07月25日

木の家スクール 名古屋2012 第2回:6/23(土)

「自立循環型住宅」ガイドラインを活かした設計法

伝統構法による「水俣エコハウス」の環境性能

 

講師: 澤地隆男氏

 

日本を省エネルギー基準でⅠ〜Ⅴの地域に分けると、全体の6割が愛知と同じⅣ地域になる。環境省が在来木造建築(主に土壁つき)の温熱環境の調査をした結果、Ⅳ地域では

屋根・天井には100%断熱材を入れているが、壁や床下には2割〜4割程度しか断熱材を入れていない。高断熱の家と比べれば、当然、外気温に習って室温も変化する。土壁の外部に40㎜程度の断熱材を入れれば、次世代基準をほぼクリアできることを認識してほしい。

環境省の応募に手をあげて各地にエコハウスが建設されたが、H22年に竣工した土壁・伝統構法の水俣エコハウスの実験データーを見てみよう。隙間相当面積(C値)がかなり高い。

隙間低減を意識せず、無双窓などが作られていることが原因と考えられる。「高気密」に意趣変えをしなくとも、隙間をなくす適切な対応でC値を下げられる筈。熱損失係数(Q値)は障子等が効果を挙げ、次世代基準をほぼ達成できる数値だった。伝統的住宅も、時代の要請に対応しながら進化し、伝統の良さを残し続けてほしい。

戸建て住宅のエネルギー消費量の構成を見ると、Ⅳ地域では暖房は10%前後。給湯と家電がそれぞれ20〜30%の割合を占めている。寒冷地では建物の断熱・気密に費用をかけても元が取れるが、南下するほどメリットは少ない。通風の工夫が効果的といえる。それとともに、庇を長くして、日射遮蔽に留意すべし。

2012年5月は本格的省エネ対策実施のスタートポイント。一線上にいる今こそ、伝統住宅を残すために皆さんに勉強をしてほしい。

(文責 寺川千佳子)

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