2018年12月26日

木の家スクール名古屋2018 第4回:10月26日(土)②

フィールドワーク② :おはらい町の町並み保存再生

講師:高橋徹(高橋徹都市建築設計工房・主宰)

 

鄙茅(ひなかや)の後は、伊勢内宮のおかげ横丁に移動し、碁会所をお借りして高橋徹さんのレクチャーを伺いました。高橋さんは、伊勢おかげ横丁、おはらい町、のまちづくりに長年にわかってかかわってこられました。内宮は、現在年間580万人(H29)が訪れる観光地で、おはらい町は欠かせない観光ルートとなっています。しかし、まちづくりの取り組みを行う前は伊勢神宮内宮の鳥居のすぐ前にバスが止まり、参拝した後にはバスに乗って志摩などの観光地に移動をされていたそうです。当時のおはらい町の写真を見ると、確かに「シャッター街」のようにも見えます。

この状況を打破するために、1979年に地元組織を発足させ、赤福さんをはじめとした地元の商店経営者のみなさんと二人三脚で、様々な取り組みをしてこられました。住民、企業、行政とともに行ってきた、修景や建て替え、まちづくりのご苦労などの話はとても興味深いものでした。

おはらい町のまちづくりは、いろんな幸運にもめぐまれたそうです。通りの長さが街歩きに丁度よく、その先に駐車場をつくることができたこと。メインの通りと並行して川沿いの道があって循環も可能なこと、そしてなによりも熱心な人材と企業に恵まれたことだとおっしゃっていました。

 

建物の修景工事への支援は、補助制度ではなく、あえて低利融資の枠組みをつくり、活発化させたそうです。県、市、民間の事業、国の補助事業などを駆使し、連携させながら一体的のあるデザインが行われてきました。行政とも協力して制度づくりなどをおこなっています。おはらい町の通りに直行する細い路地(世古道)は2m程度ですが、これを4mに拡幅してしまうと街並みが変貌してしまうことから、道幅を変えずに建物をつくったり直したりできるような仕組みなどを整えました。また、前田伸治さんなど経験豊かな設計者を起用し、コアとなる建物のデザインがなされたこともよかったのだろうと思います。我が国の資産となるまちづくりがこのようにして行われてききたのだということがよくわかりました。

(文責:宇野勇治)