2013年02月20日

緑の列島 木の家スクール富山2012 第4回 改正省エネ法基準解説セミナー

木の家スクール富山、第4回の講義を開催いたしました。
今回は、省エネに関する講義です。講師は住まいと環境社の野池政宏先生。
建築実務者の方はご存知の通り、省エネに関する動きが目まぐるしくなってきました。
ゼロエネルギー住宅や認定低炭素住宅、そして省エネ法が改正となります。
現在の省エネ法基準でさえついていけない人が多いというのが現状だと思います。
また、この省エネ法に対して賛否両論あるようですが、賛否の前にまずはどういう内容のものなのか、そして今回の改正でどう変わるのかを知っておく必要があります。
木の家スクール富山の第4回講義は、今回の改正にあわせて「認定低炭素住宅と改正省エネ法基準丸わかり解説セミナー」と題して講義をしていただきました。
改正と言っても今の基準はどういう内容なのか?、それに対してどう変わるのか?

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まず、現在の省エネ基準
基準には、性能規定(建築主の判断基準)と仕様規定(設計・施工指針)がある。
1、性能規定① 年間暖冷房負荷の基準
2、性能規定② 熱損失係数(Q値)・夏期日射取得係数の基準(μ値)の基準
3、仕様規定  躯体・開口部の断熱性能の基準
上記のように、性能規定に2つの基準と仕様規定が1つの基準と、3つのルートに分かれる。

そして、今回の改正によって
1の基準は無くなる。
2の基準は、Q値→Ua値・μ値→ηa値となり、計算方法も少し変更となった。それに加えて、一次エネルギー消費量の基準も満たす。
3の仕様規定は、無くなる?、移行期間としてしばらく残す?、いずれにしても無くす方向へ。
以上のような改正になるが、これまではほとんどの人が仕様規定に頼っていたため、それが無くなることによりUa値・ηa値・一次エネルギー消費量を計算しなくてはいけなくなる。
この部分が、今回の改正によって大変になるところである。
これを計算するのが、一次エネルギー消費量算定プログラム(建築研究所のHPにある)。

これまでの事業主基準の算定プログラム(IBECのHPにある)を理解している人にはそれほどハードルは高くないが、そうでない人にとっては苦労する。
また、Q値・μ値を計算したことがない人にとっては、相当にハードルが高くなる。
他には、暖冷房の一次エネルギー消費量の評価(計算)において、パッシブ的な要素がかなり組み込まれている。
今回の改正のまとめ
改正省エネ基準は、従来通り建物の基本性能(断熱・日射遮蔽)を担保させながら、具体的に一次エネルギー消費量を計算させることによって、家庭生活由来の一次エネルギー消費量を減らしていこうとしている。
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今までの省エネ基準をよく知らなかった人にとっても、非常に分かりやすく解説していただいた野池先生の講義でした。
これを機に、省エネ基準の数字による評価だけでなく、何が省エネなのかを考えるべきだと思います。
パッシブというと新しいもののようですが、伝統的な民家は庇や長い軒によって日射遮蔽や取得をコントロールしていました。

また、自然素材を活かすつくり方をすることによって、エアコンがない家・エアコンにあまり頼らなくてもいい家にすることができます。
それは数字で評価しにくい快適性なのですが、住み心地という温熱環境にとっては、この部分もとても重要だと思います。
最終的には設計者の目指す方向による違いもありますが、いずれにしても地域に合った省エネな家づくりとは?を見直してみましょう。

 

緑の列島木の家スクール富山事務局 草野鉄男