2017年09月15日

木の家スクール名古屋2017 第2回:7月1日(土)②

第2回 「膨らむ時代」から「縮む時代」へ

講師 佐藤善秀 氏(ロスコ・らしさ研究所・代表)

 

佐藤さんは大手メーカーのマーケティングリサーチを中心に、経営戦略・商品企画、販促企画、教育研修などに携わっていらっしゃいます。また、地域産業の活性化にもご尽力される他に、NPO環境共棲住宅『地球の会』の理事として、国産材と伝統的技術によってつくられた「日本の木の家づくり」を広める活動もされています。

2020年に新省エネ基準は全戸への適合が義務化されることになっています。そうなれば「住宅の性能競争」の時代は終わり、その後は「住宅の新しい価値競争」の時代になります。それを「らしさづくり競争の時代」と、佐藤さんは話されます。

“ らしさが無ければ生き残れない! ”

他に無い、自分たちだけの価値をどうつくりあげるのか。そして、それをどのように伝えていけば良いのか。その例として、日本各地で取り組む先行事例の数々をスライドを交えながら沢山ご紹介頂きました。

まずポイントは「地域との接点づくり」。

自社のモデルハウスの一室を主婦の生け花サークルの活動拠点として提供することで、地域のコミュニティー活動に協力する工務店が有ります。あるいは、海好きの社長と社員がライフセーバーのボランティアをしたり、危険そうな街角に交通安全の標語看板を掲示するなど、地域の安心・安全に貢献する活動をしている工務店。または、毎月29日(ふく)と4日(し)を福祉の日として、65歳以上の方の家の手摺付けや修理などを無料で行う、といった福祉活動をしている事例もあるそうです。あるいは、中学校の教室の壁に、生徒と一緒に香りの良い杉の板を貼ったり、街の清掃や森の植林をするなどの環境活動・環境教育を行うことで、地域に貢献する取り組みをされている工務店もあります。

また、ある製材業者の事例では、小学校に木の机を提供し、木の肌触りと香りの良さを子供達に伝える取り組みをしています。6年間使い続けることができて取りはずせる天板は卒業時の素晴らしいプレゼントでもあります。きっと大人になっても、ずっと “ 木のファン ” でいてくれることでしょう。

これら、地域との接点づくりと合わせて大切なこと。それは、自分たちがつくる『家』がどういうものであるかということを丁寧に伝えるということ。

例えば「構造見学会」では、家の骨組みが一体どうなっているのかを図で説明したり、基礎の作り方を写真で詳しく説明することも大切です。また、「完成見学会」では、つくり手としてのその家への思いや考え方を、とにかく丁寧に文章で紹介することも大事。

そしてもう一つ。そもそも最も大切なこと。それは、施工メンバーが一丸となって、お客様の大切な家を丁寧につくっている証として、現場の整理整頓、清掃を徹して行うということ。

 

講義の最後に映し出された “ハーレーになろう!!” の文字。

「売るのはバイクじゃない ライフスタイルなのだ」。

性能は良くて当たり前。その家でこそ自己実現が可能である。そう感じさせる家づくりのヒントに溢れた講義でした。

(文:丹羽)