北海道Styleの木の家をデザインする
講師:西條 正幸 氏 (ビオプラス西條デザイン 代表)
北海道札幌市で建築デザイン事務所を主宰する西條正幸さん。
かつては内装施工業者として店舗づくりをされていた西條さんが、天然素材を活かした『自然派住宅』の新築・リフォーム業に転身されることになったきっかけ。それは今から20年ほど前のこと。当時まだ幼かったお嬢さんのアトピーと、そのころ考えていた自宅兼事務所の新築計画でした。
当時暮らしていた家は、いわゆる新建材で包まれたもの。その建材が人の健康に害を与えるということを、自宅の計画をきっかけに知り、とても大きな衝撃を受けたと言います。そのころアトピー対策で食事制限などをしていたお嬢さんのことも重なって、「これからは安全で健康に暮らせる家をつくるお手伝いをしていこう!」と決心されました。
“安全で健康的な素材を使って家をつくること”が、同時に“環境にも優しいことである”という思いから、できるだけ身近で調達できる、環境に配慮した建材を探し、無ければ特注でつくるというのが西條流。カラマツの構造材や、道産のトドマツの繊維でつくるウッドファイバー断熱材。ホタテの殻を活用した壁塗り材をつくったり、地元の窯業者に焼かせて凍害に強いタイルをつくるなど。どれも健康と環境に優しいだけではなく、素材としての魅力があるものを集め、『自然派住宅づくり』の実践が始まりました。
西條さんのその他の取り組みは多岐にわたります。
環境共生グッズの販売。共同菜園が有るエコビレッジの建設や、かつて大量に建てられた北方圏型規格住宅のリノベーション、「三角屋根プロジェクト」。書籍を執筆し、菜園づくりのワークショップを開いたり・・・。
穏やかで温厚なお人柄から受ける印象にあって、幅広く行動的な“住まいづくり”のお話は、とても興味深いものでした。
(文:丹羽明人)