2014年12月26日

木の家スクール名古屋 2014/7/12 第二部

土壁を生かすための断熱改修の技術

講師 豊田保之氏

 

豊田さんの生家の家業は、京都で1607年に創業された左官業です。現在は、お父様、ご兄弟が左官職人として活躍されています。本日は、「美濃加茂の家」と「岩園の家」の2つを例にとり、土壁を使った住宅改修について、お話下さいました。

 

<美濃加茂の家より>

この住宅は、大正元年に建築された、約築100年の日本家屋でした。

一通り、一般的な土壁施工についてお話された後、土壁の性能向上補強についてお話しされました。性能向上補強については、既存土壁に外断熱の形で断熱と強度を向上させる方法や、内断熱の形で同様に補強する方法を紹介して頂き、そして、工期・コストの削減の為の提案として、伝統工法を現代仕様にアレンジした、木小舞片面土塗りや、木小舞落込片面土塗手法を紹介下さいました。条件はあるますが、通常6工程ある施工が3工程以下になる方法でした。また、それぞれの仕上げの違いによる断熱性能について丁寧にお話しされました。

 

<岩園の家より>

この住宅は築38年の木造2階建て住宅でした。

詳細調査の結果、設計図書と実際が異なる部分があったり、内壁の土壁が梁まで上がっていなかったりと、その他にも多くの事がわかりました。こちらの住宅では、条件がある中で、耐震・断熱・防露・防火・蓄熱について考えた結果、鋼板サンドイッチパネルを内張りし、パネルに左官仕上げを施す方法を採用されました。耐震・断熱補強が可能、外部足場不要、既存土壁の削るとる量を大きく軽減出来る等、様々なメリットがありました。

 

本講義から、土壁仕上げは、工夫をすれば様々な壁を土壁として仕上げる事が可能である事、そして、現在の技術を組み合わせて、より性能を向上させる事が可能であり事を知りました。

また講義の中で、豊田さんが伝統的な土壁だけでなく、様々な事に挑戦されている姿が印象に残りました。 今後も、豊田さんの活躍に期待させて頂きたいと思います。

文:田中寛子