2009年09月29日

2009/8/22 緑の列島 木の家スクール名古屋 [野村勘治氏]

近世・近代・現代の造園デザイン

野村勘治氏(野村庭園研究所 代表)をお招きし、「近世・近代・現代の造園デザイン」と題して講義を頂きました。
近世の作庭家を代表して小堀遠州、近代では小川治兵衛、現代では重森三玲という、各時代を代表する作庭家の仕事を通じて、日本における造園史を俯瞰しようというスケールの大きなお話でした。

小堀遠州の庭は、幾何学的なデザインが特徴であり、西洋庭園的な要素もあるようにも見えます。これは、真・行・草で言うならば真の庭であり、壮大な大名の庭をいくつもデザインしました。野村氏によれば、小堀遠州は様々な情報から中国の宮廷の庭を念頭に置いていたのではないかとのことです。しかし一方、ヒューマンスケールの弧蓬庵では美しく艶やかなや空間が随所に見受けられるなど規模や対象に合わせて自在にデザインし、しかしその中でも共通した遠州好みの要素があり、あらたな庭園の見方をいろいろと教えていただきました。

野村勘治1

 

自然な雰囲気のある小川治兵衛の庭はイギリスの風景庭園を彷彿させるとも言われるようです。しかしその源流には、江戸の大名庭園のデザインがあるそうです。そして、現代アートにも通じる重森三玲のモダンな庭はどこから来たのだろうか。一時期は画家を目指した三玲ですが、作庭に出会い、古典を学びなかでも小堀遠州へのオマージュとして庭をつくり続けたとのことでした。

 

野村勘治2
日本の庭についてはなかなか学ぶ機会も少ないと思いますが、今回は日本の庭の歴史的な流れや連関について教えていただきました。社会や環境、景観に対して、個人や公共の庭が果たす役割はますます大きくなっていくと思われます。これからの庭を考えるにあたり、歴史的な文脈を知るとてもよい機会となりました。

(文責:宇野)