対象者:報告会への出席者より当日会場で回収&事後にフォームで回収同時に実施 (回答数=172名)
報告会で概要説明をした標準設計法案・詳細設計法案については、
大まかな方向性としては受け入れつつも、
安全率の高さ、基礎がコンクリートに限定されていること、
樹種や材の太さなど、標準設計法案の仕様規定として
出てくるハードルが「高すぎて使えない」と
感じている人が多いことが分かります。
実務者が求めているのは「使える設計法」であり、
これまでに適判を通って来た建築物がことごとく通らないとか、
既存建築物の耐震性の検証に用いることができない
というのでは「誰も使わないもの」となってしまいます。
中でも多かったご意見は、標準設計法案で
コンクリート基礎を前提としていることに対する疑問です。
版築や玉石基礎などを含めたものでなければ、
既存建築物を含め、受け継がれて来た建築文化を
認めることにならないのではないか、というご意見です。
そのほかにも、京町家のような細い材、広葉樹の大黒柱など、
標準設計法案の仕様規定からこぼれるものに対するご指摘もありました。
「安全かもしれないが、誰も使わない設計法」とならないためには、
事例による検討や実務者との意見のすりあわせが必要だという
ご意見も相当数ありました。
標準設計法案の難易度については、
それが「使えるもの」となっていくという前提の上で、
「マニュアルやモデル事例、講習会などがあれば使えると思う」と
答えている方が多かったです。
中には「もっと簡単にしてほしい」というご意見もありましたが、
仕様規定の常として、より簡略にすればするほど、
規定値はより安全側になるというジレンマがあります。
簡略化については、求めるものと得られるものが相反するので、
むずかしいところです。
なお、今後についてですが、
検討委員会は平成24年度に終了しているため、
この未完の標準設計法案をよりよくしていくための主体になることができません。
しかし、鈴木祥之委員長を中心に、設計法を作成した委員や実務者で「伝統的構法設計基準委員会」を構成し、この未完の仕事を継続していく所存です。
細くでも長く、少しずつではあっても、
ここまで積み重ねてきたことを活かし、
実務者の手に届く方向で、進めていきたいと考えております。
そのために、今回お寄せいただいた
みなさんのご意見のひとつひとつは大変貴重なものだと考えています。
この事業が、伝統的構法の研究に終わることなく、
伝統的構法を未来につなげられる
牽引力をもった成果を、実務者が手にできるよう、努力し続けたいと思います。
みなさまには、今後のことが具体化しましたら、
お知らせをし、次へと引き継ぎたいと考えています。
どうぞよろしくお願いいたします。
回答なし 20人
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※「使わない」と回答した5名のうち3名は、前問で「石場建ての施工実績有」の人だった。
回答なし 31人