2008年06月30日

【メ-ルニュ-ス.005 学生も参加の地域グル-プ「京北の木で家をつくろう」ネットワ-ク】

【今月のニュース・・学生も参加の地域グル-プ「京北の木で家をつくろう」ネットワ-ク】

今月のメ-ルニュ-スでは、京都の地域グル-プを紹介します。
今後もメ-ルニュ-スで、他の地域のグル-プも取り上げていきたいと思いますので、
ご関心のあるグル-プの方は、事務局までお問い合わせください。

さて、第一回目は、京都市に事務局を置く「京北の木で家をつくろう」ネットワ-クのご紹介です。代表で、設計士の住吉豊さんに、取材協力を頂きました。

ネットワ-クの名前にもなっているとおり、この会は京都の北部にある京北をフィ-ルドに活動を行っています。京都の屋根と称される京北は、町の面積の93%を森林が占めており、昔から良質の材木を生産してきました。長岡京遷都(784年)以来、新しい都をつくるための木材生産地として御杣御料地に指定され、現在でも、北山杉の磨き丸太で知られる日本でも有数の林業産地です。

都を作るためだけでなく、京北材は、生活の場である町屋にも多く使われてきたことでしょう。京の町の中で、凛と佇む町屋とも、そこで生活する人々とも、京北材は深いつながりを持っているのではないでしょうか。しかしながら、この地も他の林産地と同じように、時代の流れに沿って元気を失っていったそうです。
その京北の地で、現状の問題を話し合い、課題解決をしながら、京北材と絆が深い「京の街づくり」に活かすことを目的に「京北の木で家をつくろう」ネットワ-クが、2005年7月17日(祇園祭山鉾巡行の日)に立ち上がりました。
ネットワ-クのメンバ-は、一部の利害関係者だけではなく、問題意識と志がある様々な立場の人が、広く集い意見を交わせるようにとの想いから、募っているそうです。現在の構成メンバ-は、林業家が2人、製材が1人、そして設計施工者が9人のほかに、研究者、教育者、一般の消費者や学生もメンバ-に入って活動しています。

ネットワ-クでは、より多くの京北材が使用されるように、京北地域の良さや、京北材の認識など、個人単位ではできない普及啓発を、建築現場見学会、森林組合・森林見学会などを通して、を行っているそうです。
このネットワ-クの特徴は、林業家、設計士、施工者の他に、研究者と教育者、そして学生が入っていることでしょう。緑の列島ネットワ-クの顧問である鈴木有氏、そして、同じく理事である佐野春仁氏も、このネットワ-クの構成メンバ-です。学生さんたちは、ネットワ-クの会合への出席はもちろん、茅葺民家補修の為の茅刈り、京北森林組合内の木造乾燥倉庫を伝統構法で設計・建設といった実務にも積極的に関わっているそうです。

佐野氏は、活動を通して、学生自身が卒業後の仕事をポジティブに考えてくれるようになったと、感じているそうです。学生さんとのコラボレ-ションが、このネットワ-クの活動をよりパワフルに、そして京北と京都の2つの地に渡って広く活動するエンジンとなっているようです。

現在、ネットワ-ク内で木材価格の協定などは設けていないそうですが、メンバ-に木材商の方もいることから、ネットワ-ク内だけで材を普及させるのではなく、一般にも広く普及させたいという考えで木材を取り扱っているそうです。そのための、価格調整や品質表示、出荷量の安定、街側でもストックヤ-ドの確保など、今後取り組まなくてはならない課題についても、今後検討を進めていくそうです。

京北地域は、市町村合併で京都市に編入され、また京北へのトンネル開通が決定したことによって、これまで都市計画の規制がなかった京北地域が、他の都会の周辺地域と同じ無秩序な開発にさらされています。京北地域の文化を見直し住民の意識を喚起して、良い景観を残しながら地域の活性化の道を探る活動を進めていき、その中で林業の里を活かす策を考えていくそうです。また、佐野氏の学生さんたちや京大の学生も引込んで、京北地域のまちおこし活動をして行く中で、主幹産業である林業への京都市民レベルでの関心を高めて行きたいとのお話もうかがうことができました。

山と街の2つのフィ-ルドを、より一層強くつなげていく、「京北の木で家をつくろう」ネットワ-クの活動に、今後も注目していきたいと思います。「京北の木で家をつくろう」ネットワ-クでは、随時メンバ-も募集しています。関心のある方なら、何方でに参加できるそうですので、ご興味のある方は、下記のURLよりお問い合わせください。

-京北の木で家をつくろう」ネットワ-クからのお知らせ-

・         7月27日(日) 京北地域にある森林公園にて子供向け木工教室を実施
・         11月 京北の民家を回る見学会を予定
・         京北森林組合 加工センターが近々JAS工場の認定を受ける予定

イベント内容や、ネットワ-クの詳しい内容については、下記のURLをご参照ください。

http://www.green-arch.or.jp/group_keihokunokii.html

また、「京北の木で家をつくろう」ネットワ-クに参加している学生さんが
所属する京都建築専門学校のURLは、下記の通りです。学校でのカリキュラムは
木造建築を担う人材の養成として、非常に興味深い内容ですので、こちらも是非
ごらんください。
http://www.kyotokenchiku.ac.jp/index.html