公開イベント

2010年9月12日 第1回シンポジウム アンケート集計結果

フォーラム参加者に記入していただいたアンケートの集計結果を公開します。出席者153名のうち、有効回答数60でした。回収率は40%でした。

Q1. 来場者の職種

あなたのご職業を教えてください。

職種としては建築士がもっとも多く、半数以上を締めました。参加者の住所は有効回答数のおよそ半数が石川県ですが、そのうちサイト閲覧者は2割、メルマガ購読者は2人しかいないので、今回の金沢でシンポジウムを開催したことで初めて委員会のことを知った人も多くいたことが分かります。ほか、県別のベスト3としては石川県、京都府、愛知県で、次に隣県の富山、福井からの来場者が続きます。遠方からは、愛媛、岩手、広島から来られた方もありました。

Q2. シンポジウムの内容の理解度

内容はいかがでしたか?

今回はシンポジウムということで、前回のフォーラムとくらべると専門的な話が多かったのですが、「分かり易い」という方が4分の1強、「ある程度理解できた」という方が半数で、内容はまずまず伝わったようです。

「よかった」という意見
  • 基本的な考え方、背景の説明を聞かせていただきました。
  • 具体的に各部会に動きが見られて相互に連携できていると感じることが出来ました。
今後に向けての提案
  • シンポジウムのオープン化はたいへん良い事だと思いますが、登壇者の皆さんがオフレコ的発言をしにくくなりませんか。編集後、公開する事でも良いと思いますが。
  • 全体として各部会での内容が一つの全体像を結んでくれていない印象がありました。時間が短いこともあるでしょうけれども、まず全体で目指す姿をプログラム、問題点をサイトマップで明らかにしておくような工夫が必要だったかもしれません。関係者にしか理解が難しいかも。
  • 第一回目のシンポジウムであり、これからの方針検討問題点の話が多かった。次回は検討結果を期待したい。

Q3. 委員会への期待度

今回のシンポジウムから、検討委員会の方向性に期待できそうですか?
また、そう思う理由を教えて下さい。

アンケート回答者のほとんどが「1. とても期待している」「2. 少しは期待で来そう」との回答でした。回収率が40%とやや低いので、全体での期待度としてアンケートの回答ほどであるかどうかは分かりませんが、意思表示してくださる方の意見しか吸い上げることはできないので、おおむね期待できると受け取られていると理解してよいのではないでしょうか。

期待している意見
  • 伝統構法の特性を十分生かした設計法の確立が期待できる。
  • 伝統的建物を保存する事が必要で、それが叶うようになるならばとても重要なことなので期待します。今の建築基準法の在り方が現状に合わない部分は変わることを期待します。
  • 建築基準法が変わる方向に持って行って欲しい。伝統構法が認知できるようにしてほしい。
  • やる気のある先生方の集まりがうれしい。
  • 伝統構法は日本の風土に合っている構造なので、個人の事務所でも取り組みやすい環境になっていく為には、意味のある委員会だと思います。
  • 成功を期待しています。
  • 伝統構法の力学的メカニズムが少しずつ明らかになりそうという意味では大いに期待しています。
  • 能登方面の大工さんから地震対応の方法を聞かれることがあり、伝統構法住宅の改修方法等につながる、適切な結果を期待しています。
  • デザイン上の自由度が高まりそうですし、耐震補強等にも応用できるといいと思います。
  • 柱根を金具で固定せずに実験するなど、在来工法に目を向けた初めてのプロジェクトだから。
  • 委員会が国交省の事業として実施されているので、期待したい。
  • 前の委員と違い、いいものにしようと思ってはるのがよくわかる。
  • 伝統的構法の再構築の可能性と確立に希望がもてる気がする。
  • 期待できると言うより、期待したいと思います。
  • 伝統的構法を現在の法体系を改正して取り扱えるように実験・解析の蓄積を革新的に進められようとしていることに期待しています。
  • 伝統的構法による構造の見直しが行われることは良いことだと思われる。
  • 伝統構法で建てるにあたり関西版以上のマニュアルが出る事を期待します。
  • 少しずつですが、進展がありそう。
  • 期待しています。検討を進めていく事が大切で、正解はないと思います。つなげていただければ良いと思います。
  • 期待したい。設計法が確立されれば良いと思う。
  • 通常業務の中では金物ばかりで、社寺建築などの時に疑問に思うことが多いので、伝統的構法の検討に期待しています。
「少しは」と留保している理由
  • 検討材料があまりにも多すぎるので、方向性がみえるのでしょうか。
  • 時間がかかりそう。現在、木造の設計を行っている実務の設計者に対して、また次の東海・東南海地震に対して間に合うのかという意味ではあまり期待できない。
「あまり期待できない」理由

お一人だけ、「あまり期待できない」と答えた方がいらっしゃいましたが、その理由はあげられていませんでした。

Q4. 委員会のサイトの閲覧情況と満足度

検討委員会のサイトをご覧になったことがありますか?
サイトをご覧になった方、内容はいかがですか?

サイトを閲覧したことのある人は半数以下でしたが、閲覧した人の満足度は高いようです。閲覧していない層の多くは、今回初めて委員会と出会った、石川県地元の方と思われます。地方での開催が、委員会の活動を全国に周知する上での効果をもたらしたといえるでしょう。

「満足している」という答えた方のコメント
  • 会の目的が分かり易かった。
  • 参加できない場合でも、かなりくわしく内容を公開して頂けているのでありがたいです。
  • 質疑応答の様子まで分かることが良い。
ほか、改善点についての提案
  • 今後、実験結果や経過を詳細に見られるようにしていただければよいと思います。
  • フォーラム、シンポジウム以外の情報が乏しいと思える。

Q5. 委員会のメルマガの購読情況と満足度

検討委員会発のメルマガが届いていますか?
届いている方は、内容に満足されていますか?

メルマガを受け取っているのは、回答者の3分の1程度でした。メルマガを受け取っていない人の85%が「次回から送付希望」ということで、メールアドレスを登録してくださいました。

「満足している」と答えた人のコメント
  • 様々な情報を随時送っていただけているのがよい。
  • メールマガジン、楽しく読んでおります。今後ともよろしくお願いします。
ほか、改善点についての提案
  • シンポジウムの案内等をもう少し早くして頂けるとありがたいと思います。
  • 伝統構法に関する情報などを教えて欲しい。
  • 実動実験のデータ、解析結果、その他をのせて下さい。
  • 途中経過などできれば。
  • このシンポジウムで各先生方が、前のスクリーンに写されたスライドをオープンにして頂けませんか。
  • 他の法人とのリンクをもっと知らせて欲しい。
  • 伝統構法において新築する建物や改修工事で見学できる機会があれば、知らせて欲しい。

Q6  基調講演の感想

基調講演「古代を解く : 唐招提寺金堂の保存修理を終えて」の感想をおきかせください。

「よかった」という人の感想
  • 歴史を感じました。知識と知恵を再認識しました。
  • 現代の建築の技術が進歩すればする程、古代の人たちの技術に感服せざるをえません。
  • 千年以上前からある唐招提寺に使われている技術も大切な物だと思います。その技術をこれからの建物に活かすことができれば良いと思う。
  • 伝統技術の良いところが良くわかった。
  • 「昔の大工は千年もつ建物を造ったのではない。千年もたせる価値のある建物を造ったのである」という言葉に感銘を受けた。
  • 大変おもしろかった。大きな流れがわかる。実際に補強する場合(一般の伝統構法建物)は、ここまでできない。
  • いやー金かかってるなー。
  • 時系列的な改修方法が大変わかり易く納得出来ました。
  • 技術の継承の為にはやはり保存修理が大事である
  • コンセプト、用意周到の修繕手順、実験による検証、技能と知識との掛け渡しなど、大変優れた仕事を拝見しました。是非本にまとめていただきたいと思います。
  • 補強を行うときに、「これまでのこと」と「これからのこと」とを考えて計画しないといけないことの奥深さを感じました。
  • 何故もっていたか?からの検証を行った事について、今後、自分の仕事に活かそうと思います。
  • 構造補強の方法を決定する過程がよく分かり、素晴らしい説明だったと思います。
  • 実物件としての伝統建築物の応答解析を1時間という短い時間でポイントを押さえた内容であったのではないかと感じました。問題点から考察、解決法の過程がよくわかる内容でした。
  • 設計事務所ではとうてい不可能な過程と実験のくりかえしを10年以上書けて今の修理が行われてきたことにとても敬意を払いたいと思いました。
  • 10年は大変だったと思う。長期に亘る努力に敬意を表します。
  • 大変興味深く聞きました。現代の第一線の構造技術者として「伝統構法のここがわからない。こうした方が良い。」と感じた点はなかったでしょうか?もしあったならば、その様なお話も少し聞けたらさらに興味深かったです。
  • 耐震性能は柱傾斜復元力が10%ということで、その復元力が想像できました。
  • 屋根荷重によるバランスで屋根構造ができているのにおどろいた。
  • 参考になりました。伝統に対する考えも伝わりました。
  • 良い勉強になった。興味があるテーマである。
  • 簡潔でわかりやすかった。聞き応えがありました。
  • 大変参考になった。
  • 素晴らしいの一言です。もっと詳しく知りたいと思いました。
  • 大変興味深く聞けた。詳細を研修したいと思います。
  • 今後、詳細な資料を読んでみたい。
  • 貴重な講演でした。別の機会にでももっと詳しく長い時間で聞きたいです。
進行や内容についての意見
  • もう少し長い時間聞きたかった。
  • 分かり易い説明で良かったが、1時間は少ない。内容的にはもっと時間があっても良かったです。もっと解析内容を聞きたかった(モデル等)。
  • お話のペースは速く、やや聞き取りにくい所がありました。
  • 内容が豊富だったが時間が短かった。資料はもう少し増やしてほしかった。解析手法等についてはより詳細な内容を聞きたかった。
  • もう少し具体的な話も欲しかった。
  • 配布資料にpowerpointの資料が無かったのが残念です。
  • 他の修復建造物についての話も聞いてみたい
  • 他の文化財はどうなのか。関連性も知りたかった。
  • トラスでの補強で小屋を固める工法には違和感を感じました。
  • 大変形(柱径程度以上)となると、どうなるのかの点が気になった。

Q7 鈴木委員長、各主査への自由意見

検討委員会へのご意見、ご要望、ご提案、今日のフォーラムの感想、何でも結構です。なお、どの委員会・部会に向けた発言なのかを明記して下さい。

① 検討委員会 鈴木祥之委員長へ
  • 回答ありがとうございました。時間切れで質問を控えさせていただきましたが、地震後の残留変形(この言葉が適当な表現かわかりませんが)を知りたく思います。今後とも、研究に期待しております。
  • 積極的に滑りを取り入れて、構造体に負担をかけない設計法の検証も必要ではないかと、疑問に感じた。不可能なのか。
  • 伝統的構法の設計法作成マニュアル書の今後の見通し、あるいはタイムスケジュールを教えて欲しい。
  • 会場からの質問からうかがっても、この伝統構法住宅の設計法の構築の取り組みに関して、もう少し分かり易い啓蒙のページをつくる必要があると感じました。また、現委員では時間がさけないように思うので、別にその対応部会のようなものをこしらえられるといいのではないか?と思っています。
  • 現在の基準法通りに建てた物が、10〜15年で痛んで再利用不可のゴミにしかならないものに対し、再利用可能な伝統構法にもっともっと光をあててほしい。先生方によって現行の法律が変わることを望みます。
  • 一般の構造技術者はRC・S造中心でW造の理解はほとんどないと思える。木造専門の構造技術者の資格制度等が必要ではないでしょうか。
  • 現建築基準法による建物と石場建て建物との現実的なギャップがかなりあると思うのですが、そのギャップを埋める汎用性があるとありがたいです。
  • E-ディフェンスが楽しみです。設計法(基準)を作成(案)するのに、主として学者先生だけでなく、広い範囲の人(現場、実務的な人)が委員であることは、めずらしく、大変よい組織だと思う。
  • 3年間の経過が最良なものに期待したい。頑張って行きたいです。
  • 今後も応援いたします。ご活躍を期待しています。
  • ありがとうございました。
②設計法部会(主査:斉藤幸雄)へ
  • 偏心に対する具体的な評価ができるようにしてほしいです。特に寺院建築は偏心しやすく、限界耐力法を使うと判断が難しいです。また、現存する建物で過去に大震災を受けているにもかかわらず、3面壁なしのような本堂もあり、不思議に思います。そういう建物が何故建っているのかも気になります。
  • どのような設計法が提示されるのか、大変興味深く思います。設計法にまとめていく上で、他の委員会がいかにサポートしていくかが大切だと感じています。
  • 動的解析法の解説、内容盛りだくさんでありましたがわかりやすく説明下さいました。柔構造に期待。
  • 実際の現場の人間が理解し、運用し得る「教科書」付、参考例などもやがては整備されるとありがたいです。
  • 実務に当てはめて考えたときに、コンピュータのソフト等を使いながら設計士の独力で設計できるようにガイドラインを作成できるのでしょうか。スペシャリストにしか扱えないような難しさでは、普及しづらくなり、もったいないので、学問をふまえて素人(顧客)にも説明できる・理解しやすいものにつくっていただきたいと思います。
  • 地盤の良い悪いが結果に大きく作用されない木造、学校校舎などで木杭のある布基礎(無筋コンクリート)があり、地盤沈下も生じているような建物についての評価方法(分析)についても記載して欲しい。
  • 先人達が生み出した構法・技術を現代の知識や科学をもっては十分に把握は難しいと思うので、あまり狭いしばりをつくらないように設計法を考慮して欲しいと思った。
  • 実際に補強設計が役所の入札で出されている(伝統構法のもの)。それを内容がわかっていない事務所が安い金額で落札している。伝統的な建物を現在の補強法で壁をたくさん入れて補強してしまう。色々な問題がある。早めに設計法をまとめ、方向性を出して欲しいと思う。
③実験検証部会(主査:後藤正美)へ
  • 小屋裏部屋がある場合、三階建てとして計算する必要があるのか?
  • 多くの実験で多くの可能性のある結果を導かれますようお願いします。
  • 「石場建て」難しいことだけど頑張っていただきたい。
  • パンフのp29に金沢工大にて実験が行われるとあるが、見学会などの予定はないのでしょうか?
④構法・歴史部会(主査:麓和善)へ
  • 基本的なことだけど大変勉強になりました。
  • 私どもは、愛知県建設組合連合という大工中心組合でして、仕口に関してのプロの集まりですので、何かお役に立てましたら、よろしくお願いいたします。
  • 伝統的構法の構造解析について架構、継ぎ手仕口と色々な問題点を伺いましてありがとうございました。
  • 設計法をつくり、それを下に建物を判断することはとても大事で、また難しいことだと思いますし、それに取り組んで頂いていること、とてもありがたいです。ただ、同時に、計算ではどうだという話は少し横においといて、各地の大工に伝える、こうすれば家が丈夫になる、という、本当かどうかはわからないがやってきていることが気になります。もちろん各地の家は形状も性状も、また地震や台風や雪や腐り(白アリ含む)等の何に対してなのか、いろんな違いはあると思いますし、ここをこうすればこちらに負担が大きくなる、ということもあると思います。(例)下屋や落棟、足固めの成、取り付け方、床高との関連、栓の打ち方や樹種や大きさ等々。「設計法をつくる」ことが第一目的なのは分かりますが、大きな目的は伝統構法とその建物を引き継いでいくことなのですし、できれば同時進行でそういうこと(各地域の現物の建物に対して)も、完璧でなくてよいので検証していく部分が欲しいし、その重要性と続けていけるための仕組みづくりが是非欲しいと思います。
⑥事務局(NPO法人緑の列島ネットワーク)へ
  • 今回の参加者の半数以上は構造以外の人に思いますが、シンポジウムの内容は構造専門過ぎていて、次回には参加されないように感じ、盛り上がりに欠けるように思いました。