構法・歴史部会
部会概要

構法・歴史部会 主査:麓 和善(名古屋工業大学大学院工学研究科・教授)

現在普通に施工されている「木造在来工法」は、本来の伝統構法とはいえません。伝統構法の設計法をつくるには、まず本来の伝統構法とは何か、明らかにする必要があります。明治期以前の古い文献や文化財遺構の修理報告書などを調べることで、伝統的な継手・仕口、部材寸法等を明らかにするのが当部会の使命です。

部会の目的

江戸時代から明治中頃までに筆写・刊行された継手・仕口に関する古典建築書、文化財修理工事報告書などの文献から、継手・仕口、「木割」の寸法体系、構法仕様に関するデータを収集し、実験棟の仕様、設計用データベースの構築に活かす。

  1. 伝統構法の調査報告、修理報告を収集し、構法の整理・分類をするとともに、構法の地域性や歴史的変遷を明らかにする。
  2. 伝統構法の構法仕様(継手・仕口仕様、軸組仕様、土壁・板壁仕様、床組仕様、基礎・柱脚仕様、軒廻り仕様、小屋組仕様、造作仕様など)を把握し、構造的特性を明らかにする。主要な構法仕様については、要素実験等を実施して設計用データベースを作成する。
  3. 伝統構法の構法仕様は、軸組の施工方法と密接な関連があり、この関連性を明らかにして、伝統構法の設計法に生かすとともに、実務者、特に設計者に周知する。
  4. 永年にわたって培われ、改良されてきた構法の背景(大工道具の発達と木材加工法および継手・仕口の発達の関係など)を明らかにし、現在採用している構法の理由を整理する。
  5. 伝統構法の技術的な背景と歴史的な変遷をまとめ、伝統構法を広く一般に広報する。