2011年11月15日

緑の列島 木の家スクール富山2011 第2回 木組の家設計法/針葉樹を活かす家具設計法

11月12日、緑の列島木の家スクール富山の第2回講義を開催いたしました。
今回は、お二人の講師をお招きしての講義。建築設計と家具設計のコラボレーションです。
建築設計として建築家の松井郁夫先生、家具設計として富山大学芸術文化学部の丸谷芳正先生に講義をしていただきました。
実はこのお二人、同じ大学をご卒業されていて、東京芸術大学のバスケットボール部の先輩後輩というご関係で、今回のコラボが実現したという訳です。
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まずは、「木組でつくる日本の家」と題して、松井先生の講義。
現状の問題点として、荒れ果てた山・消える大工技術・価格の見えにくい木と木の家・木造建築の構造解析不足の話から始まりました。
木という自然素材が、山と環境を守る循環要素の大事な役割をしていること、川上=山(林業)〜施工(大工)〜設計(設計者)〜消費者=川下までが密接につながり、山のこと・木のことをもっと知って家づくりをすることが大事である。
多くの設計者・施工者は、住宅(民家)をつくりながら、日本の民家のことを知らないので、もっと伝統的な民家の勉強をするべきである。
設計手法としては、間取りから考えるのではなく、架構から考えていくことにより、力の流れがスムーズな丈夫な骨組みをつくる。
最近では、伝統的な木造建築の実大振動実験などその構造解析が進んできたことなど、話がすすめられました。
そして、その実践として松井先生のワークショップ「き」組の紹介をしていただいて、松井先生による今日の第1講座が終わりました。
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第2講座は、「針葉樹を活かす家具設計法」と題して、丸谷先生の講義です。
昔ならば、建築の設計の中に家具も含まれていました。家を建てるとともに、ほとんどの家具も一緒に造られていたのです。家具屋さんというものが出来てから、建物と家具が別々になりました。
せっかく本物の木の家を建てても、その後に持ち込まれる家具が集成材や樹脂・金属が多いのでは・・・。ですから、ある程度の家具も本物の木を使い、家を建ててくれる大工さんにつくってもらうのが理想です。(大工さんでは無理な家具は別として。)
という観点で、丸谷先生にこの講義をお願いしたのです。
丸谷先生も、山と木の問題の話からから講義を始められました。
針葉樹は柔らかいので、家具と言えば広葉樹で造られることが多いが、現在日本の山では、安定した広葉樹の供給ができないため輸入材に頼っている。
しかし、戦後造林された森林が伐期を迎え利用を迫られ、広葉樹の多くが失われた今、針葉樹を利用するという観点で、家具設計を再考するべきである。
古い民家に置いてある家具を調べても、決して広葉樹のみというわけでなく、針葉樹も結構使われている・・・のだそうです。
針葉樹家具の設計法として、その1=柔らかさを欠点としてみるのではなく、柔らかさを活かすようにつくる。
その2=軽さを活かす。広葉樹は硬いかわりに重いので、針葉樹を使うことによって軽い家具が出来る。椅子の持ち運びなどに有効。
その3=接合方法を工夫する。柔らかいので、ホゾがつぶれたりしないようダボ接合や雇いホゾなどにより、繰り返し荷重や衝撃荷重に耐えるものをつくる。
その4=供給量と安さを活かす。計画供給される日本の針葉樹を使うことにより、量の安定と広葉樹の価格よりも安く手に入れることができる。
まとめ=針葉樹と広葉樹をバランスよく使用することが家具本来の姿であり、針葉樹本来の特性を活かした家具設計をするべきである。
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休憩時間の間に、丸谷先生が杉で造った机・椅子をみんなで見ている様子です。
やはり、広葉樹の家具に比べると触った瞬間から柔らかさを感じましたね。そして、何と言っても軽い!
写真の手前に映っている椅子もなかなか良いでしょう。色も綺麗ですね。
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そして今回は特別に、松井先生と丸谷先生のお二人で第3講義を行っていただきました。
まずは、丸谷先生から不燃木材の紹介。
2000年の法改正により、木材も不燃材料として認定を受けられるようになったが、「不燃木材の防火性能が不足」という問題が起きて、認定を受けた約30社のうち抜き打ち検査などにより、最終的には1社しか合格しなかったというお話。
次に、丸谷先生は古い民家を買い取って住まいにしておられるのですが、その耐震改修という意味で古い民家の構造の話になりました。
そこで松井先生から、E-ディフェンスで行われた実大振動実験の映像をいくつか見せていただきました。
古い民家は柔らかくてゆらゆら揺れるので良い、それで地震力を柔軟に受け止めている。しかし、そこへ現代的な考えの構造補強をするとどうなるのか、などを考える必要がある。
実大実験の映像を初めて見た受講生の方は、真剣にそれを見ておられました。

第1回の稲山先生の講義で、めりこみを活かすことが重要であると書きましたが、今回の講義も同じです。伝統的な民家の組み方つまり木組みとは、めりこみを活かしています。
伝統構法だから、現代構法だからと分けて考えずに、木を使って建てることの意味、その木の良さを最大限に活かしてつくる=めりこみを活かすこと・・・なのです。

緑の列島木の家スクール富山事務局 草野鉄男


2011年10月20日

緑の列島 木の家スクール富山2011 第1回 木構造レベルアップ講座Ⅰ

緑の列島ネットワークが開催している木の家スクール、今年度より富山でも開講することになりました。
以前も富山で開催していてここ数年間お休みしておりましたが、またスクールを行ってほしいという声も上がるようになり、今年度より再開することになった次第です。
北陸および周辺の皆様、またよろしくお願いします。
今年度も、富山県の方だけでなく、石川県・新潟県から通って下さる受講生の方もいらっしゃいます。
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今年度の第1回は、木構造ステップアップ講座Ⅰと題して、東京大学大学院准教授の稲山正弘先生を講師にお招きして、木造軸組工法の許容応力度設計法による構造設計の話をしていただきました。
一般的な2階建て以下の木造住宅(その他高さや面積の条件あり)であれば、構造計算の必要はありません。いわゆる4号建築物ですから、壁量など仕様規定を満たせばよい建物です。
しかし、構造計算がいらないからといって、木構造の知識が全く必要ないわけではありません。
構造計算の必要があるかないか、あるいは構造計算をするかしないかの以前に、木造の構造を理解しているかどうかが重要です。つまり、その理屈を分かって設計しているかどうかということです。
そのためには、仕様規定範囲内の知識だけでなく、性能表示の構造チェックや許容応力度設計法などもある程度理解しておく必要があります。
構造計算が必要だから勉強するのではなく、4号建築物であろうがなかろうが、木造の建物をきちんと設計しなくてはいけません。
そのためには、こういう設計法・構造計算を勉強することによって、木構造の基本や計算から読み解く知識を身につけることができるのです。
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今回の講義は、仕様規定では耐力壁に頼る設計しかできないのに対して、許容応力度設計をすることによってどんなことができるのかという、いわば木構造の応用編。
また、昨年「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が公布・施行されたこともり、ある程度の規模の木造建築物も含めて話をしていただきました。
稲山先生の講義のタイトルは、「流通材を用いた大規模木造建築の構造設計」
大規模な物ばかりでなく、住宅からある程度の規模まで、稲山先生が構造設計された作品を通しての講義でした。
建物の規模が大きくなると、大断面集成材(特注材)を使うケースが多いが、それではS造・RC造と変わらないもしくは逆にコストが高くなってしまので、地場産の流通材(一般住宅に使う材料)を用いることによってコスト面も考えた合理的な設計を紹介していただきました。
ただ、県産材という条件にしてしまうと構造的な視点からも使える構造材が限られてくるので、県産材も含んだ周辺地域材を使うようにしておられるそうです。
また接合金物も同じで、特注の金物を使うとコストが高くなるため一般住宅にも使われているような金物を使ったり、なるべく金物をあまり使わない接合部を考えることも重要だと教えていただきました。
特注金物だと大工さん・職人さんも大変だが、一般的に使い慣れている金物だとそういう手間もかからないからです。
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最後に、稲山先生が構造設計された作品を拝見していて印象的だったのは、木と木同士のめりこみを活かして設計しておられるということです。
材と材を簡単な仕口でくっつけて金物に頼るのではなく、材と材は欠き込んだ部分を噛み合わせる(いわゆる木と木を組む)ように設計しておられました。(稲山先生も、こういう部分は伝統的な継手の追掛け継ぎと同じ理屈だと解説。)
木を構造材として使う木造建築物は、これが木の特徴を一番活かした使い方なのだと、あらためて実感しました。

今回の講義を聞いて、今まで構造計算は必要ないと思っておられた方が、木構造のこと・構造計算の関心を高めて実際の設計に役立てていただきたいですね。

木の家スクール富山は、残り4回の講義(6講座)と、外部研修(耐力壁実験見学)を1回行います。
希望講義のみを受講することもでき、あと若干名受付可能です。ご希望の方は、富山事務局まで。

緑の列島木の家スクール富山事務局 草野鉄男


2011年7月16日

木の家スクール名古屋2011 第三回 樋口佳樹氏 宇野勇治氏 山田貴宏氏

地球温暖化やエネルギー問題の影響により、各国で省エネ対策が進められているなか、日本の家づくりにも大きな波が押し寄せて来ています。

今後、住宅建設にはどのような省エネ性能が求められるようになっていくのか。また、それに対応するための新たな環境技術とはどのようなものなのか。

一方、日本で伝統的に培われて来た、エコで快適な家づくりの手法とその性能はどのようなものか。そして、現代の住宅にも有効に活かせるものがあるのかどうか。

さらには、『木の家』の総体的な価値をどのように評価し、客観的に明確にしていけるのか。まさに『環境の時代』に相応しい『木の家』の優位性を、どう明確に示し推進していくのか。

今回の三人の講師による講義は、建築や設備の性能に加え、暮らし方まで含めたエコロジカルな『これからの木の家』を考える上での重要な視点を示すものとなりました。

 

最初の講師は、樋口暮らし環境設計の樋口佳樹さん。

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 ヨーロッパの先進各国、及び、EU合同による省エネ推進の取り組みについて。そして、日本の省エネ推進の動向。さらに、このところの国内での先進的な取り組みなどの紹介をして頂きました。

これまでのように、建物の断熱気密性能のグレードアップに加え、高効率の設備器機の普及。あるいは、太陽光発電や太陽熱利用などでエネルギーを取り出すことによって“ゼロカーボンゼロエネルギー”の実現が目指されつつあります。さらには、建設時と廃棄時分のCO2の回収を目指す“LCCM”(ラウフ サイクル カーボン マイナス)の実現に向けた取り組みは、国内の建て売り住宅でも始まっているそうです。

しかし一方、既存改修の多い欧米諸国とは違って、9割近くが新築という日本の現状は、木材自給率が24%程度と大変低いことに加え、その平均寿命がたったの30年程度という短かさです。LCCMの評価では『地産地消』が大変有効なことからも、森林国日本においては、“近くの山の木で家をつくる”といった視点に重きを置くことは最も重要なことだとの指摘もありました。

 

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 二人目の講師は、愛知産業大学准教授であり、当スクールの運営委員長でもある宇野勇治さんです。

“木と土を用いた家の温熱環境デザイン”と題し、伝統型と現代型の家の居住環境実測や、シュミレーションからわかってきたそれぞれの家の特徴を解説して頂きました。

土壁の蓄熱効果と断熱の組み合わせは、特に冬の屋内環境を安定させて快適性を向上させることができます。また、庇の遮光効果はLow-Eガラスよりも遥かに大きいこと。その他、通風や冬のダイレクトゲイン。あるいは、植栽などの建築以外の要素による効果が大変大きいことなどを説明して頂きました。

“人がどのように暑さ寒さを感じ取っているのか”、“心地よさとは何か”も含めた、目指すべき“これからの木の家の温熱環境デザイン”のお話でした。

 

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 三人目の講師はビオフォルム環境デザイン室の山田貴宏さんです。

山田さんには2009年にもご登壇頂き、パーマカルチャーの思想に基づく住環境づくりのお話を伺いました。

今回は“木の家の環境設計のためのツールと手法”と題し、木の家の評価手法とその必要性についてのお話しを頂きました。

日本の気候風土に合った『木の家』は、パッケージ型の大量消費住宅に比べて様々な点で明らかに優位性があります。

しかしそこで、“木の家は良い”という曖昧な表現ではなく、『評価ツール』を使って様々な環境要素を総合的、かつ、客観的に評価することで、木の家の良さを明確に説明し伝えられるようにして行くことが、今後、『木の家』を推進して行く上でとても重要です。

構造、環境、コスト、間取り、意匠性、地域性、社会性など、家を総合的価値として評価できるようにした上で、“どんな性能の家にするのか”ということを住まい手に提示して確認できるようにすること。それは、単に太陽電池などの『環境設備』の装備や『温熱性能』の数値の追求だけに留まるのではなく、本当に必要で欲しい性能と質の住環境を創るためにはとても有効な手法だということを認識させられました。

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講義の後にはグループ討議(ワールドカフェ)の時間を設けて、“これからの木の家の環境と暮らし”という大テーマのもと、以下の六つの小テーマに分かれて意見交換をいたしました。

テーマごとの主な意見を以下に記載します。

 

1.『木の家の性能評価』

・地域性を考慮した性能評価が必要

・価値観が均質になってしまっている中、どのような基準で性能評価するかが課題

・一般の方にわかり易い評価が必要

・木組みの家は高価なイメージが有るが、性能を明らかにできれば、むしろ安いことが解るはず

・木の家の性能をデータ取りして出すことは難しいのではないか

・今までは国のためのものだったが、住まい手のための性能評価を提案するべき

 

2.『土壁の断熱』

・地域によって、断熱するべきかどうかが分かれる

・土壁の良さをなくしてしまうので、内断熱は考えにくい

・蔵のように厚い壁にすれば熱性能は上がるのではないか

・断熱材により湿気が外に抜けにくくならないか、あるいは内部結露の心配はないか

・室内に対する調湿効果を考える場合の、外側に対しての納まりの検討が必要

 

3.『法規制と木の家』

・法22条地域でできる『木の家』の意匠性と機能性が課題

・法22条地域では『木の家』と呼べるような木造三階建ての家は建てられない

・土壁であれば大壁に板貼りで防火構造として認められるが、中に断熱材を入れても認められるのか? (*告示により、不燃系の断熱材であれば認められる)

 

4.『自給自足・自立型住宅』

・災害時などに一週間くらい持ちこたえられる程度にはしたい

・たとえば里山の循環の系の中で成り立つことであり、都市部の戸別単位で考えるのはむつかしい

・ガスや電気がとまっても暮らせる家づくり

・食料と同じく、木材の調達にも関連する視点も重要

・様々な法規制によって、循環型の生活がしにくくなっている面も有る

・電気に変換するのではなく、地熱冷暖房や光ダクトなどの様に、そのまま活かす方が良いのではないか

・地域によってパッシブが成り立つかどうかが分かれる

・打ち水などのように、小さい範囲の微気候レベルの発想も大事

・エネファーム(家庭用燃料電池コージェネレーションシステム)は地産地消?

・巨大システムの部品の家ではなく、小規模システムの中での家づくりを目指す

 

5.『これからの暮らし』

・かつての日本の住まいは人間力を育み活かすことで成り立っていた

・住まい手を過保護にしないことが大切

・現代の家はマニュアル的過ぎるのでは

・コーポラティブハウスで上手く行っている事例は少ないが、藤野のエコ長屋ではどうか

・地域住民と上手く馴染むことができるかどうかが大切

・昔の長屋暮らしは人のふれあいが暖かそうで魅力的な印象が有るが、“知っているけど知らないふり”的な心遣いが有ってこそ成り立っていた(まさに人間力)

・藤野のエコ長屋では風呂が共同になっている(人間力を育む仕掛け)

・人の感性や身体的な適応力を活かすことができる住環境を考えていきたい

・お金や物ではなく、人と人の繋がりを大切にすることから考える

・“これからの暮らし”は多様であっていい

・地域コミュニティーが安心な暮らしを支えてくれる大きな要素

・地域住民のコミュニケーションがお互いの心づかいを育む

・最近、シェアハウスで老人と若者の恊住という住まい方がうまれてきた

 

6.『地域とのつながり・環境と暮らし』

*つくり手として、地域との結び付きをどこまで意識して取組んでいるか

*“地域の材”や“地域の職人”による家づくりについてどう考えるか

・“地域”をどこまでの規模とするのかが様々

・『身土不二』ということばがあるように、一里〜二里くらいのエリヤで衣食住がまかなえる環境がよい

・ネットでショッピングができる現代では、地域という概念は今や様々。“地域”にこだわる意味も薄れて来ているのではないか

・食に関しての地産地消意識は高まっているが、木材のそれはまだまだ広まっていない。アピールが足りないのではないか

・山の環境問題を考える上では近山の考え方は大切だが、木材を単に材と捉えれば、物によっては外材の選択も有りうる     

       以上

運営委員 丹羽


2011年6月23日

緑の列島 木の家スクール名古屋2011 第二回 定成正憲氏 川端眞氏 宮内寿和氏

緑の列島 木の家スクール名古屋2011 

第二回 定成正憲氏 川端眞氏 宮内寿和氏

 

一駒目は、“木材の水中処理と天然乾燥について”のテーマで、

職業能力開発総合大学校の 定成正憲氏にお話を伺いました。

 

 

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木材は乾燥により、収縮や割れ、反りなどの変形が起こる。その変形を極力小さく抑える

ことが、柱・梁を表しの木造建築を建てる際の重要なポイントになる。

その為には、収縮の大きい辺材部分を心材部分の収縮率に近づける事が重要である。

甲賀・森と水の会で出会った定成氏と川端氏、宮内棟梁は、

古来には普通に行われていた木材を水に浸けておく乾燥方法「水中処理」に着目し、 その実験を平成17年に始めた。

 

先ずは、杉の角材と皮をむいた丸太、皮付きのままの丸太の三種類を150日浸けてみた。

そこで判ったことは、角材はシラタ部分の色が悪くなるので×。

皮をむいても、皮付きでも、水中処理後の重量増加率に差がないことと、

その後に燻煙処理をする際には皮付きのままの方が変色が少ないことから、水中処理は皮付き丸太が最適であることが判った。

 

さて、木材を浸けておいた水(水中処理水)のPHの変化を見ると、

約1週間で7.5だったPHが6.2ぐらいに下がり、

2週間目で7.2ぐらいに戻り、再びPHが6.5以下に変化し、

4週目に7.5に戻ってくる。その際木材の断面を見ると、

小口や節から樹液が出てきているのが目視できる。

木の中から樹脂が出てくることが収縮、乾燥に関係していると思われる。

 

刻みを始めるまでには、

水中処理に約4ヶ月+皮付き丸太のままで輪掛けでの天然乾燥に約1年+あら挽き製材後の天然乾燥に約10ヶ月、

計2年2ヶ月の時間が経過している。

その間含水率は徐々に下がり、燻煙熱処理後に正角材に製材したもので約50パーセント。

試験体は杉の芯持材であるが、乾燥割れの発生が軽微であったことが確認できた。

 

杉材と同様に、山梨産の赤松や伊豆の桧で水中処理を実験した。

赤松の場合は10ヶ月の水中処理後に約3ヶ月樹皮付で天然乾燥後、

剥皮後約7ヶ月天然乾燥をした。内部、外部ともに含水率が約20%になり、

割れが少ないことにつながる。

赤松の場合は、梅雨明けにはキクイ虫が産卵をするので、それ以前に樹皮を剥くことに留意。

桧の場合は、水の浸透性がとても悪い。

10ヶ月貯木した木材でも10cmほどしか水が浸透していなかった。

このことから、短期間なら水中処理をするメリットは少ないと感じた。

 

二駒目は“小径木挟み梁構法”について、

設計士の川端氏と宮内棟梁にお話を伺いました。

 

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平成16年の暮に、ある施主から下記の条件で住宅建築を依頼された。

・  石場建て

・  金物を使わない

・  伝統的な構法の家

この条件で確認申請を通すには限界耐力計算しかないと川端氏は考え、

宮内棟梁は伝統的な構造要素である長押をヒントに、小径木挟み梁構法を発案した。

 

伝統的な構法は終局時に柱が折れて倒壊にいたることが多い。

挟み梁構法はこの弱点を克服するために、

柱の断面欠損を最小限にして梁で両側から包み込むディテールになっており、

1/10radを優に超える変形能力がある。単純な模型から初めて、

3年にわたる詳細な実大実験や要素実験、

立体効果の検証を重ねて“構造材でもたせる”最適なシステムを決定した。

そして、この実験で得られた耐力データーが確認申請の際に有効な資料になり、

適合性判定以前だったので、特に困難なく限界耐力計算で確認申請を下ろすことができた。

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ここで小径木挟み梁構法の特徴を列記すると、

第一の特徴:軸力で外力に抵抗するため、面材が不要で自由な外観デザインが可能

第二の特徴:同じ仕口を利用して、小径木だけで横架材も構成が可能

第三の特徴:木材との相性が悪い金物を使用しないため、建物の長寿命化が可能

まさに、施主の要望を満たし、小径木の利用で地域林業が活性化し、大工の技量が発揮

できる三方得の構法といえる。背割れも表面割れもない水中処理+天然乾燥の角材が

この構法でこそ生かされることとなる。

 

平成20年、再び石場建て小径木挟み梁構法で片流れの平屋の住宅を設計したが、

2例目は法改正後のため適合性判定送りとなり、

4号建築物規模であっても詳細な許容応力度計算が要求され、

構造審査担当者の理解を得るのに大変な労力を強いられた。

現在進行中の「伝統的構法の設計法作成及び性能検証実験」 検討委員会によって、

他の4号建物と同程度の負担で確認申請が行えるように改正されないと

伝統構法を次の世代に残すことが難しいと

川端氏は強く危惧する。

 

法的規制は他にもある。建物の強度を壁量で満たす場合は構造材(木材)の乾燥方法を問われないが、

“構造材でもたせる”設計の場合は「20%以下の乾燥材」と告示に書いてある。

天然乾燥の杉材の場合は、35%ぐらいが手刻みに適切な含水率だが

、それでは現行の法律違反になる。

「手刻みでの建築は竣工までに1年以上かかるので、

引渡し時には含水率は十分20%を下回る。

その点を考慮に入れて、

天然乾燥材をJASの規格に盛り込みたい。

その為にも、天然乾燥材の品質管理が必要だ」

 と、宮内棟梁の強い発言があった。

 

他のお二人同様、宮内棟梁も

「伝統的構法の設計法作成及び性能検証実験」

 の材料部会の委員である。

今年2月の石場建ての建物の振動台実験で、

壁の強さが構造体に大きく影響を及ぼすのを間近に見た。

1回目の神戸波で壊れた荒壁部分を荒壁パネルに取り替えて、

第2回目の神戸波の振動を与えたところ、

一見して建物は損傷していないかのようであった。

が、柱の仕口部分に割れを発見し、

構造体を破損させないようにつくることが肝要と宮内棟梁は強すぎる壁の問題を指摘した。

「人の命を預かる建物を建てるのは大工なのだから、

他の誰よりも更なる勉強が必要だ」

 と自らに問う姿勢に、受講生の背筋が伸びた。

(文責 寺川千佳子)


2011年6月11日

【富山スクール募集開始】緑の列島 木の家スクール富山2011

「木の家をつくる達人」養成講座

緑の列島 木の家スクール富山2011

2011/10/15より開講〜

地球環境や林業の観点から、国産材を使う木造建築が見直されて
います。無垢の木で木造建築をつくるには、木の長所短所などを
理解し、適材適所に使わなければいけません。また、計画・構造・
住環境・施工面に関することまで幅広い知識が必要となります。
このスクールは、山と消費者を結ぶ担い手として、また木造建築
を熟知する専門家として、よりレベルアップしていただくための
講座です。各分野の第一線で活躍しておられる講師をお招きして
最新の構法・技術や考え方を学び、実践に活かせるスキルを身に

 

■緑の列島 木の家スクール富山2011 概要


講義 期間  2011 年10 月15 日〜2012 年3 月10 日

         計5 回(全7 講座)

時間      13:15〜16:45(5 回とも)
外部研修 1 回 外部研修の参加・不参加は自由です。
開催日は、実験準備中につき未定です。初回講義時にお知らせします。
場所は、地域防災環境科学研究所(金沢工業大学やつかほリサーチキャンパス内)にて行います。
※講義に欠席された場合は、次回講義時に資料をお渡しします。(最終回の場合は郵送いたします。)
※講師・講義内容・会場は都合により変更することもありますので、あらかじめご了承下さい。
■募集要項
受講対象者 木造建築に携わる設計者・施工者・林業関係者・学生、および木の家づくりに興味のある方
受講料 全講義受講の場合 20,000 円 受講料は、初回受講時に徴収させていただきます。
外部研修不参加の場合でも受講料は変わりません。参加の場合の交通費は含まれておりません。
定員 45 名(申込み先着順)
希望講義のみ受講の場合 1 回につき6,000 円 受講料は、受講時に徴収させていただきます。
希望講義開催日の1 週間前までにお申込み下さい。
申込み方法 下記の申込み書にご記入の上、FAX または郵送にてお申込み下さい。
または、E-mail に申込み書の内容を記入し、送信して下さい。
■会場
講義会場 富山県総合情報センター 4 階第1 会議室
住所 富山市高田527 (右地図内の情報ビル)
TEL 076-432-0224
※外部研修の詳しい場所は初回講義時にお知らせします。
■問合せ
運営事務局 〒930-0981 富山市西新庄10-10
緑の列島 木の家スクール 富山事務局
富山木構造研究所内 担当 草野
TEL/FAX 076-433-7117
E-mail toyama-mokkouken@mbg.nifty.com
つけていただきます。こうした専門家が増えることによって、環
境問題・日本の森林環境の改善を目指します。そして、木造建築
のさらなる発展につながることを願っています。

PDF:緑の列島 木の家スクール富山2011

toyama school