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2011 年 6 月 23 日

緑の列島 木の家スクール名古屋2011 第二回 定成正憲氏 川端眞氏 宮内寿和氏

緑の列島 木の家スクール名古屋2011 

第二回 定成正憲氏 川端眞氏 宮内寿和氏

 

一駒目は、“木材の水中処理と天然乾燥について”のテーマで、

職業能力開発総合大学校の 定成正憲氏にお話を伺いました。

 

 

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木材は乾燥により、収縮や割れ、反りなどの変形が起こる。その変形を極力小さく抑える

ことが、柱・梁を表しの木造建築を建てる際の重要なポイントになる。

その為には、収縮の大きい辺材部分を心材部分の収縮率に近づける事が重要である。

甲賀・森と水の会で出会った定成氏と川端氏、宮内棟梁は、

古来には普通に行われていた木材を水に浸けておく乾燥方法「水中処理」に着目し、 その実験を平成17年に始めた。

 

先ずは、杉の角材と皮をむいた丸太、皮付きのままの丸太の三種類を150日浸けてみた。

そこで判ったことは、角材はシラタ部分の色が悪くなるので×。

皮をむいても、皮付きでも、水中処理後の重量増加率に差がないことと、

その後に燻煙処理をする際には皮付きのままの方が変色が少ないことから、水中処理は皮付き丸太が最適であることが判った。

 

さて、木材を浸けておいた水(水中処理水)のPHの変化を見ると、

約1週間で7.5だったPHが6.2ぐらいに下がり、

2週間目で7.2ぐらいに戻り、再びPHが6.5以下に変化し、

4週目に7.5に戻ってくる。その際木材の断面を見ると、

小口や節から樹液が出てきているのが目視できる。

木の中から樹脂が出てくることが収縮、乾燥に関係していると思われる。

 

刻みを始めるまでには、

水中処理に約4ヶ月+皮付き丸太のままで輪掛けでの天然乾燥に約1年+あら挽き製材後の天然乾燥に約10ヶ月、

計2年2ヶ月の時間が経過している。

その間含水率は徐々に下がり、燻煙熱処理後に正角材に製材したもので約50パーセント。

試験体は杉の芯持材であるが、乾燥割れの発生が軽微であったことが確認できた。

 

杉材と同様に、山梨産の赤松や伊豆の桧で水中処理を実験した。

赤松の場合は10ヶ月の水中処理後に約3ヶ月樹皮付で天然乾燥後、

剥皮後約7ヶ月天然乾燥をした。内部、外部ともに含水率が約20%になり、

割れが少ないことにつながる。

赤松の場合は、梅雨明けにはキクイ虫が産卵をするので、それ以前に樹皮を剥くことに留意。

桧の場合は、水の浸透性がとても悪い。

10ヶ月貯木した木材でも10cmほどしか水が浸透していなかった。

このことから、短期間なら水中処理をするメリットは少ないと感じた。

 

二駒目は“小径木挟み梁構法”について、

設計士の川端氏と宮内棟梁にお話を伺いました。

 

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平成16年の暮に、ある施主から下記の条件で住宅建築を依頼された。

・  石場建て

・  金物を使わない

・  伝統的な構法の家

この条件で確認申請を通すには限界耐力計算しかないと川端氏は考え、

宮内棟梁は伝統的な構造要素である長押をヒントに、小径木挟み梁構法を発案した。

 

伝統的な構法は終局時に柱が折れて倒壊にいたることが多い。

挟み梁構法はこの弱点を克服するために、

柱の断面欠損を最小限にして梁で両側から包み込むディテールになっており、

1/10radを優に超える変形能力がある。単純な模型から初めて、

3年にわたる詳細な実大実験や要素実験、

立体効果の検証を重ねて“構造材でもたせる”最適なシステムを決定した。

そして、この実験で得られた耐力データーが確認申請の際に有効な資料になり、

適合性判定以前だったので、特に困難なく限界耐力計算で確認申請を下ろすことができた。

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ここで小径木挟み梁構法の特徴を列記すると、

第一の特徴:軸力で外力に抵抗するため、面材が不要で自由な外観デザインが可能

第二の特徴:同じ仕口を利用して、小径木だけで横架材も構成が可能

第三の特徴:木材との相性が悪い金物を使用しないため、建物の長寿命化が可能

まさに、施主の要望を満たし、小径木の利用で地域林業が活性化し、大工の技量が発揮

できる三方得の構法といえる。背割れも表面割れもない水中処理+天然乾燥の角材が

この構法でこそ生かされることとなる。

 

平成20年、再び石場建て小径木挟み梁構法で片流れの平屋の住宅を設計したが、

2例目は法改正後のため適合性判定送りとなり、

4号建築物規模であっても詳細な許容応力度計算が要求され、

構造審査担当者の理解を得るのに大変な労力を強いられた。

現在進行中の「伝統的構法の設計法作成及び性能検証実験」 検討委員会によって、

他の4号建物と同程度の負担で確認申請が行えるように改正されないと

伝統構法を次の世代に残すことが難しいと

川端氏は強く危惧する。

 

法的規制は他にもある。建物の強度を壁量で満たす場合は構造材(木材)の乾燥方法を問われないが、

“構造材でもたせる”設計の場合は「20%以下の乾燥材」と告示に書いてある。

天然乾燥の杉材の場合は、35%ぐらいが手刻みに適切な含水率だが

、それでは現行の法律違反になる。

「手刻みでの建築は竣工までに1年以上かかるので、

引渡し時には含水率は十分20%を下回る。

その点を考慮に入れて、

天然乾燥材をJASの規格に盛り込みたい。

その為にも、天然乾燥材の品質管理が必要だ」

 と、宮内棟梁の強い発言があった。

 

他のお二人同様、宮内棟梁も

「伝統的構法の設計法作成及び性能検証実験」

 の材料部会の委員である。

今年2月の石場建ての建物の振動台実験で、

壁の強さが構造体に大きく影響を及ぼすのを間近に見た。

1回目の神戸波で壊れた荒壁部分を荒壁パネルに取り替えて、

第2回目の神戸波の振動を与えたところ、

一見して建物は損傷していないかのようであった。

が、柱の仕口部分に割れを発見し、

構造体を破損させないようにつくることが肝要と宮内棟梁は強すぎる壁の問題を指摘した。

「人の命を預かる建物を建てるのは大工なのだから、

他の誰よりも更なる勉強が必要だ」

 と自らに問う姿勢に、受講生の背筋が伸びた。

(文責 寺川千佳子)

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