2009年12月15日

2009/12/5 緑の列島 木の家スクール名古屋2009 第七回 山辺豊彦氏講義の報告

“これからの木造住宅の構造について”

今回の山辺先生による構造講義が、今年度の『木の家スクール名古屋』の最終回です。

講義の前半は、前回(6月20日)に引き続き『ヤマベの木構造』をテキストにした、

仕口や床剛性の算定などの、木の家の設計実務に直結する実践的な内容の講義でした.

(通し柱と梁の接合部の飲み込み寸法を計算により確認する)

(通し柱と梁の接合部の飲み込み寸法を計算により確認する)

普段は大工さんにおまかせで、特に確認することのない細部の寸法ですが、

こうして応力計算をしてみることで、そこに掛かる力を数値的に確認できました。

掛かる力の大きさを実感することは、

木組みの設計においてはとても大切なことだと感じました。

(講義室の様子)

(講義室の様子)

いつも山辺講義で使用する講義室。各テーブルにディスプレーが設置されているので、

受講生全員がパワーポイントを正確にチェックできます。

そして後半は、受講生から募集した設計事例を題材に、

構造的な解説をしていただきました。

応募は平屋と二階建ての住宅が一例ずつ。そして大きな庫裏の、合わせて三事例です。

(幾つかの建物が連なって中庭を取り囲むように建つ計画)

(幾つかの建物が連なって中庭を取り囲むように建つ計画)

木造の構造を検討する上で大切なことはゾーン分けだと言うことを、

この事例でもわかり易く説明していただきました。

屋根の掛かり方や吹き抜けなどを考慮して各部分ごとにゾーン分けをし、

それぞれの部分ごとに、外力に対してバランスよく抵抗するように

構造要素を配置すること。

ただし、基礎は全体が一体となるように地中梁を通して

硬める工夫が必要とのことでした。

今回が今年度の最終ということで、講義後には茶話会を開きました。

しかし、ここでも引き続き山辺先生への質問者が後を絶たず、

悩み多い木構造の奥深さと、

そして、山辺先生の存在の大きさを改めて実感致しました。

茶話会

今回の講義で2009年は終了致しましたが、

早速運営メンバーでは来年度の講義カリキュラムの検討を始めています。

今回集めた受講者アンケートの結果も参考にしながら、

さらに充実した内容の『木の家スクール名古屋2010』を企画して参ります。

皆さんどうぞご期待ください。

また来年も、共に学びましょう!      (運営委員  丹羽明人)