2008/7/12 「このままでは伝統構法の家がつくれない」 フォーラム報告
東京新宿の工学院大学にて、全国から伝統構法を守ろうという有志が参加して、多くの団体に賛同を得た上で開催されました。募集定員250名のところ400名近くの申し込みがあり、開場の外でのモニターによる参加をしながらの関心の深さが伺い知れる、まさに歴史に残るフォーラムでした。
13:00開場し、まずは、現場で働く大工さんでもある埼玉の綾部工務店 綾部孝司氏から現場報告があり、石場立てに取り組む大工としての立場から報告がされました。次に、限界耐力法による石場立ての家を数多く設計されてきた熊本のすまい塾古川設計室 古川保氏からの、昨年の建築基準法改正を受けて、限界耐力法での申請が非常にコストや時間がかかるようになり、マイナスな面が多いことについて意見を述べられました。
基調講演「伝統構法」を取り巻く状況の変化
緑の列島ネットワークの理事でもある 山辺構造設計事務所 山辺豊彦氏からは、現場での状況において構造設計の審査の問題点や実験による結果などが報告されました。
パネルディスカッション「これからどうなる伝統構法」
YUTUBE動画 大橋先生の発言(1/30の限界基準についてのコメント)必見!
http://jp.youtube.com/watch?v=5ThXQdr1GYo
パネリスト
綾部工務店 綾部孝司氏
すまい塾古川設計室有限会社 古川保氏
山辺構造設計事務所 山辺豊彦氏
国土交通省住宅局住宅生産課木造住宅振興室長 越海興一氏
立命館大学 グローバルイノベーション機構教授 鈴木祥之氏
武蔵工業大学工学部建築学科教授 大橋好光氏
<司会進行>
三和総合設計 岩波正氏
<コーディネーター>
工学院大学建築都市デザイン学科教授 後藤治氏
岩波氏の司会により始まったパネルディスカッションは、本音をずばりと聞き出してくださり、会場に集まった方々に満足の得られる回答を得た部分も多くあったと思います。(詳細については、別途まとめたものができ次第リンクします)
官僚である越海氏の発言は、多いに会場を沸かせる内容で、今後の国の伝統構法に対する意気込みを感じさせるものとなりました。
鈴木先生と大橋先生の相互理解の元で、今後の伝統構法の基準法づくりがなされていくことに期待がもてるものとなりました。
18時に閉会いたしましたが、今回の準備にあたり、多くの同じ意思をもった他団体と協力ができ、「これからの木造住宅を考える会」を発足できたことは、多いに意義があると感じました。これで、終わりではなく、ようやく始まったところですので、一般の方へも広げていきたいと思っております。遠方より参加された方、大変御苦労さまでした。地域に戻って、多いに啓蒙のほどよろしくお願いいたします。まずは、速報まで。
(文責 理事長 大江忍)