進捗状況

2012年3月31日

2/26(日)通し柱の欠点が構造性能に及ぼす影響検証実験@つくば建築研究所

レポート=事務局 河原 大

金沢から東京を経て、つくばの建築研究所まで片道5時間の旅です。つくばは晴れていましたが、金沢では雪が降っているとのことでした。

どこの研究機関も同じかもしれませんが、やはり構造実験室は寒く寒く、業務用ヒーターも1台ではほとんど役に立ちません。悴む手を我慢しながら、たまにヒーターに助けてもらいながら、11時から約3時間、実験を見学しました。

実験棟

実験の目的:
接合部付近の節と耐力との関係の検証

今回の実験は、材料部会の材料品質・接合WGの実験として行われました。主な目的は、「通し柱の横架材-柱仕口接合部の付近に、一般に欠点と言われる節があった場合、無い場合と比べてどの程度耐力低下に違いがあるのか」を検証することです。

これまでの結果説明
初めに、材料品質・接合WGの綾部委員にこれまでの試験体を見ながら、実験結果について、解説をいただきました。
 

これまで実施した要素実験の結果を解説する綾部委員


 
一般に欠点とされている「節」は、「目切れ」の状態であり、接合部付近の応力の集中がある箇所に「目切れ」があると、無い場合に比べて比較的早く、目切れ部分から、割れが発生します。割れが発生すると耐力低下を起こします。
 
ですが、綾部委員によると、生き節である目切れ部分で割れを起こした方が繊維が破断した場合より粘り強く変形に耐えられるかもしれないので、今回の実験ではこのような側面からも耐力低下の割合ということに着目する、ということでした。
 
接合部付近、特に横架材の下端のレベルで柱に節を有しているものは、予想の通り目切れに沿って割れていました。
 

節の目切れに沿って割れが見られる


 
ところで、実務では赤丸の部分を少し空かして作るそうです。これは、長年住んだときにこの部分を空かしていないと逆に乾燥収縮によって、梁の下端が持ち上がって意匠的に良くないからだそうです。またこれまでの3体の試験体でもこの部分の摩擦が大きくなり、鼻栓と相まって、横架材が柱を引張り、その結果として柱に損傷を生じさせたのではないか、ということでした。
 

実務上の工夫

今回の試験体と実験方法
さて本題の実験です。通し柱の実験ということで、2階建ての1つの構面を対象に、胴差し部分に曲げ応力が集中することを想定した、2階部分のみ壁ありというものです。
2階梁のレベルで、オイルジャッキにより、正負交番3回繰り返し加力、1/30rad以降は、引ききりという実験です。
 

試験体となる2階建の1構面


 
 
実験の経過
小さな変形角では目立った損傷は生じませんでしたが、1/100rad辺りから壁の部分からキシキシと音が鳴り始めます。1/30radに至ると、接合部付近からパキッパキッという音が聞こえ始めました。次の写真は1/30radです。
 

1/30radで、接合部付近から音


 
いよいよ引ききりの段階となり、1/20radで損傷観察が入ります。ずっと見ていると気付かないものですが、写真をみるとかなり柱が曲がっています。また、この辺りで、予想していた部分である目切れに沿って少しひびが入っているとのことでした。
 

1/20radで損傷観察が入る


 

目切れに沿ってひびが入り始めている


 
さらに加力を続けていくと、1/14radでバキッと先ほどの部分で割れが進行し、写真のように柱の折損という状況になりました。
 

1/14radで柱の折損


 
その後、1/12radで、反対側の柱に、かなりびっくりするほど大きな音とともに内側部分から割れが生じました。これも節の部分からということでしたが、うまく観察できませんでした。初めに割れの入った部分の割れはさらに進行し、不安定構造となっているような状況にありました。
 

1/12radの様子(1)


 

1/12radの様子(2)