進捗状況

2012年2月22日

2/17(金) 実大2階建て通し柱試験体振動台実験(事務局レポート)

2/17通し柱効果に関する検証実験レポート@京都大学防災研究所
レポート=和田洋子

平成24年2月17日、小雪が舞う京都大学防災研究所で夏に行われた通し柱効果の検証実験の続きが公開されました。実験に参加下さったのは30名です。参加者の多くは建築士や施工者、材木関係者で、遠くは佐賀、愛媛、徳島、広島から駆け付けてくれました。

試験体の柱脚は
石造ダボ付き礎石の石場建て

今回行われた実験の試験体は「石造ダボ付き礎石+石場建て」仕様です。昨年7月から8月にかけて土台仕様で行なった通し柱効果検証実験の石場建てバージョンです。礎石には石造ダボを設置し、水平方向に緩い拘束を設けているのが特徴です。

石ダボの設置状況。石ダボの高さは、タバコの箱より少し低いぐらい。

BCJL2波加振の様子

山田先生が資料に基づいて、今回の実験の目的、前回の実験結果等、事前説明を行ないました。山田先生らしい、丁寧でわかりやすく愉しい解説でした。

事前説明を行う山田先生(振動台実験検証WG主査)

いよいよ最初の加振(BCJL2波/X方向100gal)です。ギシギシ揺れるものの、1方向なので単純な揺れ方です。全く不安感はありません。その後200gal、300galと順次入力波の大きさを上げて加振しました。

200galでは柱脚が動く気配は全くありませんでしたが、300gal加振前には、山田先生から「端の柱が僅かに浮くと思うので、ドライアイになるかもしれませんが、瞬きをしないで見て下さい」と説明がありました。思わず身を乗り出して見ていると、右左交互にドンドンと四股を踏むように柱がわずかに浮きました。加振終了後に山田先生からは「交互に上がるような動きが見えたと思います。端の2本が浮いている瞬間も他の4本は接しているので、浮いたと言ってもそんなに滑らない」とお話がありました。

350galでは横綱級の四股でした。建物重量がそのまま音になったような重い音がしました。
横に移動してダボに当たっているのではないかと、参加者も興味津々です。残留変形はそれほどなさそうだけれど、念のために大工さん達に仕口などのチェックをしてもらい、先生方で実験が続けられるかどうか協議をしました。

協議をする山田先生、鈴木委員長、齋藤設計法部会主査

試験体の状態をチェックした結果、400galを入力する事になりました。総重量約13tの試験体が飛び跳ねるように動きました。加振終了後に大工さんが試験体を入念にチェックしてくれた結果、胴差を留めている雇いの鼻栓が折れたようです。鈴木委員長も柱脚元を入念に確認していました。

試験体の状態を観察する鈴木委員長と鎌田委員

公開終了後、JMAkobe波を加振

ここで、参加者の安全を考え公開実験は終了させてもらいました。しかし、まだ試験体は栓以外は健全な状態なので、実験担当者の山田先生、須田先生、向坊先生が「さて、どうするか。ここで止めるか、もっと大きな加振をするか」を相談していました。

実験継続の可否を相談する(左より)須田先生、向坊先生、山田先生

相談の結果、JMAkobe波(2軸)を入力しようということで、大工さんが鼻栓の交換をし、鳶達によって上部の鉄骨が撤去(試験体が当たるため)されました。

鼻栓を交換する大工さん

鉄骨を撤去する鳶さん

いよいよJMAkobe波(2軸)加振です。振動台がせり上がってきました。私は正面に座っていたので、ちょうど礎石の高さが目線と同じくらいになりました。

JMAkobe加振に向けて、せりあがった振動台にもちあげられた試験体

遂にJMAkobe波(X:400gal、Z162gal)です。神戸波独特の最初の激しい一撃でかなり大きな音がして試験体はかなり動きましたが、礎石から落ちる程ではなく、もちろん倒壊もせず終了しました。

その後、最大600galまで入力しました。一部柱脚元が破損しましたが、試験体自体は倒壊しませんでした。

礎石ギリギリのところで割れた柱脚

結果としては、石場建てでも通し柱効果が見られたのではないかと思います。工学的に詳しい分析は山田先生の速報をご覧下さい。

地長押付き仕様

実験棟には8日に行なった地長押付き石場建て実験のための柱脚元固定用冶具が置いてありました。柱を両サイドから2本の地長押ではさみこむのですが、これは柱同士を固定するものであって、礎石と柱とを拘束するわけではありません。柱を両側からはさむ2本の地長押を固定する為に樫の雇貫を通し栓で留めたそうです。当初はボルトを使う予定でしたが、鈴木委員長から「ボルトを使ってはいかん」とダメだしがあり、向坊先生のアイディアでこの冶具が作られたそうです。

地長押付き石場仕様用冶具(真ん中の穴の部分で柱を挟み、樫の貫と栓で留める)

冶具の継手

地長押付き石場建て、石場建ての結果のグラフも山田先生の速報に掲載しましたので、どうぞご覧ください。