進捗状況

2012年2月21日

2/17(金) 実大2階建て通し柱試験体振動台実験@京都大学防災研究所

速報=山田耕司(振動台実験検証WG)

はじめに
「振動台実験検証WG」では,2/8 – 17の6日間に京都大学防災研究所の強震応答実験装置(振動台)を用いて,「通し柱効果」に関する基礎実験を行いました. ここでは「通し柱効果」を図1のイメージで定義しています.他の構造形式で言えば,「連層耐震壁により建物各層の層間変位を均一化する」ことになり,連層耐震壁の役割を大断面の通し柱に期待しています.

図1 「通し柱効果」のイメージ

実験概要

実験は,礎石および柱脚仕様の異なる6寸通し柱を用いた試験体を用意し,100cm/s2から順次加振しています.試験体は,図2に示す2階建て木造軸組(石場建て仕様)で,平面形状は2間×3間(3,640mm×5,460mm)とし.積載荷重として,各階40kNの錘を載荷しています(層重量は,1階で55kN,2階で51kN).通し柱は6寸で,本数は6本としています.礎石および柱脚は,「平礎石+地長押付き石場建て」,「平礎石+石場建て」,「石造ダボ付き礎石+石場建て」,の3種類としています.

耐震壁の上下階のバランスは,2種類:「1階2階のバランスの良い」「1階2階のバランスの悪い」とし,「1階2階のバランスの良い」試験体では1階壁4枚2階壁4枚,「1階2階のバランスの悪い」試験体では1階壁4枚2階壁8枚としています.耐力壁は荒壁パネルを用い,胴差は雇いホゾ(30*120mm)を介して通し柱に緊結しています.なお安全を期すため,ワイヤーロープによる倒壊防止を行っています.

図2 地長押付き仕様・通し柱(6寸)試験体(1階2階のバランスの悪い) 立面図 (クリックで拡大)

前回(2011年7-8月)の実験(柱脚固定の土台仕様)

一連の実験では試験体を使いまわすため,1/30radで加振を止めています.

まず,比較対象とした柱脚固定の土台仕様の実験結果(2011年7-8月)を説明します.

写真1 通し柱(4寸6本)試験体(土台仕様の事例)

土台仕様の実験で得られた層間変形角を図3に示します.

図3 柱脚固定の土台仕様 各階層間変形角の対比(クリックで拡大)

通し柱(4寸)試験体では,通し柱本数,1階2階のバランスの良し悪しに関わらず,同じような層間変形角が計測されました.また,最後の実験では,加振加速度が大きくなるにつれ,1階に変形が集中し,450ガルの加振で,通し柱の1階柱頭部において折損が生じました.

一方,通し柱(6寸)試験体では,通し柱(4寸)試験体程ではないにしろ,通し柱本数,1階2階のバランスの良し悪しに関わらず,同じような層間変形角が計測されました.しかし,図からも分かるように,通し柱(4寸)試験体に比べて,各階の層間変形角の差が少なくなっています.その後,600ガルまで加振しましたが,通し柱(6寸)試験体では通し柱の折損は観測されませんでした.なお,雇いホゾを止めていた鼻栓は曲げ破壊をしたため,柱と胴差の間に隙間が生じていました.

今回の実験(石場建て試験体)

前回の実験より,本実験で目的としていた「通し柱効果」が確認されました.そこで,今回の実験では,石場建て仕様の試験体で同様の実験を行い,石場建て仕様における「通し柱効果」の有無を確認します.

石場建ての試験では,2/8,9に通し柱を挟み込んでつなぐ「地長押」のある試験体を,2/13,14には「地長押」を外した状態で試験,2/16,17には「石造ダボ付き礎石」の石場建ての試験体で実験し,その性状の違いを観察しました.

図4 石場建ての柱脚詳細

図5〜7に結果を示します.

図5 地長押付き仕様試験体の土台仕様試験体との比較(クリックで拡大)

図6 石場建て仕様試験体の土台仕様試験体との比較(クリックで拡大)

図7 石造ダボ付き礎石石場建て仕様試験体の土台仕様試験体との比較(クリックで拡大)

 
結果として,柱脚固定の土台仕様とほぼ同程度の層間変形角を計測でき,柱脚を固定しなくても,柱脚固定時と同等の通し柱効果を得られることが分かりました.

おわりに
以上の実験より,土台仕様および石場建て仕様双方において「通し柱効果」が確認されました。なお,実験に際しまして,ご理解とご協力をいただきました方々に厚く感謝申し上げます.