進捗状況

2011年12月13日

12/10 実務者の目視選別結果(曲げ破壊強度)の検証実験@京都大学生存圏研究所

レポート=和田洋子(検討委員会 事務局、一級建築士事務所有限会社バジャン)

底冷えする実験室に集まった参加者には大工も多数
最大の関心事は「大工の『見立て』が計測結果とどのくらい合うか」に

12月10日に京都大学生存圏研究所木質ホール1階の実験室で、実務者の曲げに関する目視選別結果の検証実験が行われました。この日は、午前中には京都工芸繊維大学で土壁WGの実験もあり、京都市内2カ所の実験施設ををハシゴする一日でした。(土壁WGの公開実験は、12/17(土)に福山大学実施予定です。詳細はこちら)

どこの実験室も冬は寒く、夏は暑いのがお約束ですが、午後になっても気温がそうは上がらなかった上に、京都大学生存圏研修所の実験室は試験体搬出のためにドアを全開にしていたので、コンクリートスラブの床はさらに底冷えがしていましたた。そのような厳しい寒さの中、大工の「見立て」と科学的な計測結果がどれくらい一致するのかを見届けようと、17名の参加者が、遠くは徳島からも、見学に来てくださいました。半数以上が、大工でした。

「4点曲げ試験法」により
大工の見立て評価でのベスト6とワースト6を計測

まずは、材料品質・接合WGの槌本主査(国土技術政策総合研究所)から実験の主旨説明があり、続いて北守委員(京都大学生存圏研究所)より実験方法について説明がありました。

全24本の試験体のうち、 (1)スパンを飛ばすところに使う (2)重要な接合部に使う (3)曲がりにくい (4)曲げ強度が高い の4つの選別基準にもとづいた大工の見立ての総合評価の高い試験体と低い試験体の合計12本を実験しました。この日に実施したのが必ずしも上位6本と下位6本ではなかったのは、限られた実験室の中で入れ替えが難しい試験体については、事前に実験を済ませてあったたからです。

実験は「4点曲げ試験法」で行いました。実験が始まると徐々に荷重が加えられていきます。突然「バン!」というビックリするくらい大きな音がして破壊が始まります。どちらかというと曲げに強いと評価された材は少しずつ何度も大きな音をたてて破壊されて行ったように思えました。

大工の評価が2番目に高かった材は、上部の繊維が座屈しました。破壊時変形量が150mm以上で測定不能となりました。

大工の「見立て」と実験計測結果の比較

24本のうち、計測上の最も曲げ破壊強度が高かった材(事前実験済)は曲げ破壊荷重が9.5t、破壊時変形量130mmでした。この材は大工には17番人気と評価は高くなかったのですが、それは、端部に節があったためかと思われます。

大工の「見立て」で最も評価が高かった材(事前実験済)の曲げ破壊荷重は9.0t、破壊時変形量は150mmで破壊荷重は堂々2位でした。

反対に計測上最も曲げ破壊強度が低かった材は、曲げ破壊荷重が3.5t、破壊時変形量もワースト1位の50mmでした。この材は大工の評価も下から2番目に低かった材です。

実験棟の外に実験が終了した材を下(引張り方向)を上にして置いてありました。それを見ると曲げ破壊荷重が最も低かった材は丁度曲げが掛かる箇所に大きな節がありました。

大工の評価が最も低かった材の曲げ破壊強度は5.6t(ワースト3位)、破壊時変形量は65mm(ワースト2位)と、やはり実験値も低いものでした。

このように、いくつかの例外はあるものの、概ね、Eディフェンスでのアンケートに回答した大工の「見立て」と科学的な計測は、一致していたと言って良いと思います。これから実験結果を整理し、詳細な結果は今年度の報告書で発表しますので、興味のある方はご覧下さい。

破壊のしかたのパターンを、写真でご覧ください

破壊形状としては、多くのものが、力のかかった下部(写真では実験の時に下になっていた面を上に置いてあるので、上部にあたります)の白太の部分から、繊維が細い槍のような形で剥がれ、そこから繊維方向に対して縦に亀裂が入り、次に中心部に近いところで大きな割れを生じて破壊に至るという、プロセスをたどりました。

しかし、中には目に沿ってバームクーヘンを剥いだような壊れ方をしている材もありました。

7番目に評価が高かった材もまるでせん断破壊を起こしたかのようにも見える、引っ張り曲げによる折損です。前もってミシン目でもつけていたかのような壊れ方です。長尾委員(森林総合研究所)によれば、このような破壊形状になるのは、仮導管のミクロフェブリル傾斜角によるものではないかという事です。

24本もの材を破壊するまで荷重を加えた中で、1本としてまっぷたつに折れた材はありませんでした。改めて大工の見立ての確かさと木材の力を感じた実験でした。

スマートホンやiPadやでもできる
縦震動ヤング係数測定方法のデモンストレーション

実験の中盤で北守委員が、Android携帯やiPhoneといったスマートホン、iPad、iPod touchなどでも簡単にできる 測定縦震動ヤング係数測定方法のデモンストレーションをしました。

まず、アプリケーションをダウンロードしておきます。

・iアプリ for iPad / iPhone/iPod touch : bs‐ spectrum (350円 )
・PCで :Wave Spectora (フリー)

測定方法は、
(1) 材のバランスを取ってスポンジ状の物に載せます

(2) 片方の端部からハンマーで叩いて、もう片方の端部で振動数を拾います
(材料部会小松主査(京都大学生存圏研究所)によれば、叩く強さは関係ないそうです)

(3) 材の長さと密度がわかっていればヤング係数が計算できます

とても面白いデモンストレーションでした。興味のある方はご自分でやってみてください。