進捗状況

2012年12月31日

12/26(水) 極端にせいの低い土台仕様土壁試験@鳥取環境大学 事務局レポート

レポート=河原大(伝統的構法の設計法作成および性能検証実験検討委員会事務局)

2012年12月26日鳥取環境大学にて、「せいの低い全面土塗り壁試験体」の公開実験が行われました。

当日はクリスマス寒波まっただ中ということで、鳥取でも雪が降り積もっていました。寒い中バスを待ち、駅より約20分。鳥取環境大学はとても静かな郊外にあり、とても環境の良い場所と感じました。大学敷地内の奥に独立した実験棟があります。

実験棟の中では土壁WG委員である中治先生・中治研究室の学生さんが待っており、ジェットヒーターを付けて実験室を暖めておいてくれていました。暖かい実験室で開始時間まで待っていると、チラホラと一般見学の方が集まってきました。実験途中に来られた方もいらっしゃいましたが、一般の大工の方・設計士さん・大学の先生方など、最終的には15名ほどの見学の方にお集まり頂きました。鈴木委員長・土壁WG担当の福山大学鎌田先生もいらしており、現場の学生さんを含めると20名以上の大人数で実験を見ていたことになります。

これが、今回対象となる試験体です。

この一連の実験では、背の高い全面土壁と低い全面土壁について実験を行い、背の高さが変わった時に復元力特性がどのように変化するのかを確かめる。また、変化した場合の補正方法を検討する。ということを目的としています。鳥取環境大学では土台仕様を、金沢工業大学では足固め仕様の実験を行っています。

早速実験が始まり、小さい変形の時は、自動制御の実験を見学するのみです。次の写真が1/60[rad.]時の様子です。段々と貫に沿ったひびが目立ってきました。

そして、1/45[rad.]時の様子。先ほどまでのひびが進行している以外は、特に目立った損傷はありません。

若干目線が遠いのですが、次が1/30[rad.]時の様子です。ひび割れ部分が浮き上がってきているのがわかります。

続けて2枚、1/20[rad.]、1/15[rad](右)時の様子です。大分浮き上がりが顕著になり、壁が落ちそうな印象を受けますが、経験上このくらいだとまだ土の剥落が無いことを知っていましたので、遠目で試験体を見守っていました。

次が1/10[rad.]時の様子です。さらに壁土の浮き上がりが目立ち、そろそろ落ちるかと思っていましたが、まだ粘っています。

ついに1/7[rad.]まで変形が進みました。加力途中の写真を3枚連続でご覧ください。繰り返しが進むにつれ、壁土も大きく剥がれ落ちました。

この写真だけを見ると完全に壊れているように思えますが、実際に実験中には大きな破壊音はありませんでしたので、軸組は破壊されていなかったようです。実物の建物だった場合、左官工事を再度行うことで、補修可能と思われます。

実験が終わると結果データを前にして、鈴木委員長・中治先生に今回の結果などについて特別授業を行って頂きました。既に行っている背の高い壁の実験結果と比べると、復元力特性・破壊性状にほとんど違いはなく、実務の設計上は補正する必要はないのではないか。ということでした。結果検討の詳細は、中治先生の実験結果速報をご覧ください。

実験終了後は解体です。中治先生自ら、研究室の学生さん達とともに解体作業を行っていました。見事な手際で、小一時間後には、柱梁以外は全てバラして整頓されていました。

今回の公開実験で感じたのは、たくさんの見学者の方がいらしており、皆さん興味がおありだということです。地方でのこういった盛り上がりが、結果的には伝統木造が普及するための礎になるのではないかと思います。

また来たいという思いを胸に鳥取を後にしました。中治先生、ありがとうございました。